個人事業主もサラリーマンも読める「税金の話」。第2回は主に住民税と節税について考えてみたい。「自分には関係ない」と思っているそこのあなた、損しているかもしれませんよ?
個人事業主もサラリーマンも読める「税金の話」。第1回の「源泉徴収票の見方、教えます」は、おかげさまで多くの人に読んでいただけたようだ。今回はその続きの話となるので、前回分を読んでいない方はまずそちらをチェックして、基本的な知識を押さえておいてほしい。
さて第2回となる今回は、住民税から話を始めたい。
住民税は市民税(市町村民税)と県民税(都道府県民税)に分けられる。前年の1月から12月までの所得に応じて、その年の1月1日に居住している地域で課税される。住民税はサラリーマンも個人事業主も差はない。
前回もチラッと書いたが、筆者は「○○市に住むと住民税が高い」という都市伝説を「へぇ〜そうなんだ」と思っていた。読者の中にも、「○○市は○○自動車の本社があって、税収が多いから住民税が安い」などと、もっともらしい解説を聞いたことがある人もいるかもしれない。なぜそういう話が広がったかは不明だが、住民税は、基本的には全国一律、どこに住んでも税額は変わらない。
住民税は所得によって変化する所得割と、税額が一律の均等割からなっている。所得割は、市民税が課税所得の6%、県民税が4%、合計10%だ。均等割は市民税が3000円、県民税が1000円の合計4000円だ。表にすると以下のようになる。
市民税 | 県民税 | |
---|---|---|
所得割 | 課税所得の6% | 課税所得の4% |
均等割 | 3000円 | 1000円 |
もう少し細かく見ていこう。前回、所得税の説明の中に「各種控除」というものがあった。基礎控除、扶養控除、生命保険控除といったものだ。所得税と住民税では、各種控除の額に差がある。主なものは以下の通りだ。
控除名 | 住民税の控除 | 所得税の控除 |
---|---|---|
基礎控除 | 33万円 | 38万円 |
配偶者控除 | 33万円 | 38万円 |
配偶者特別控除 | 〜33万円 | 〜38万円 |
扶養控除(一般) | 33万円 | 38万円 |
扶養控除(特定) | 45万円 | 63万円 |
生命保険料控除 | 〜3.5万円 | 〜5万円 |
前回の所得税の控除と比較してみると、社会保険料控除は同じで71万円、配偶者控除が38万円から33万円、扶養控除も38万円から33万円、生命保険料控除が5万円から3万5000円、基礎控除も38万円から33万円となるので、控除額の合計は190万円から173万5000円と16万5000円減ることになる。
課税所得額は所得600万円から住民税の控除を引くと、
となり、所得税の課税所得410万円より高くなる。この控除額の差で大きいのは、扶養控除の特定扶養親族=高校生と大学生の子供がいる家庭だ。筆者自身がまさにそうで、高校生と大学生がいるから、所得税では63万円×2=126万円の控除だが、住民税は45万円×2=90万円と、その差は36万円もある。
少々話が複雑になるが、国から地方への税源移譲が2007年に実施された際に、上記の各種控除の差額による増税をなくすために調整控除額なるものが設定されている。この例の場合は市民税が1500円、県民税が1000円差し引かれる。住民税の税率は市民税が6%、県民税が4%なので所得割は、
となる。これに均等割の市民税3000円、県民税1000円を加えると、
2つを合計すると、
が住民税となる。均等割や調整控除額による差異は多少あるが、ざっくり課税所得の10%と考えていいだろう。
納税の時期も住民税と所得税は異なっている。住民税は対象年の翌年に納税する仕組みとなっている。サラリーマンの場合、毎月所得税と住民税が天引きされているので、感覚的に理解しにくい。2009年の収入に対する所得税は毎月天引きされ、最終的に年末調整で12月の給料で差異が修正されすべて納税が済んでいる。住民税は2009年の課税所得額から計算されたものが、2010年の6月から2011年の5月まで1年間で天引きされる仕組みだ。
個人事業主の場合は2009年の所得を2010年の2月から始まる確定申告で申請し、所得税はその後まとめて納税、住民税は2010年の6月、8月、10月、2011年の1月の計4回に分けて納税を行う。3カ月分をまとめて払うことと、自分自身が金融機関やコンビニで支払うので、「納税している」という実感をたっぷり味わうことができる。
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