自宅のエアコンとストーブで暖房器具の消費電力を調べてみた冬の節電DIY(3/3 ページ)

» 2012年01月26日 20時10分 公開
[奥川浩彦,Business Media 誠]
前のページへ 1|2|3       

セラミックファンヒーター(電気ストーブ)

 1つ目のグラフは、セラミックファンヒーター。グラフの左縦軸は温度、右縦軸は暖房器具の消費電力、横軸は時間となっている。床近くから温風を噴き出すセラミックファンヒーターは最上段、上段がほぼ同じ温度で推移、下段が約1度低くなっているがそれほど大きな差はない。足元となる最下段はグッと低くなった。

セラミックファンヒーター

エアコンの風が水平だと大きな温度差あり

 2つ目のグラフはエアコンの温度設定を21度、風の吹き出し口を水平、風速を自動にした場合だ。なお、1つの実験が終わると窓を15分ほど開け換気、冷却。窓を閉め温度が安定するまで20分ほど待って次の実験を行っている。この実験では、高い位置から水平に温風を噴き出すため最上段の温度が急速に高くなった。上下の温度差は大きく、10分過ぎには最下段との差は10度以上となった。最上段の温度はエアコンのセンサーが検出する温度に近く、最上段の温度が18度を過ぎたところから電力消費がやや弱くなり、21度を過ぎたところから急速に弱くなり数分後には暖房が停止しアイドリング状態となった。

エアコンの吹き出し口:水平の場合

 いったん25度くらいまで上昇した最上段の温度は、温風の供給が止まると急速に低下。21度くらいで再びエアコンが稼働するとゆるやかに上昇した。この状態でほぼ安定状態となったが、最上段との温度差は上段が2.5度くらい、下段は7度、最下段とは9度以上と大きな差となった。体感温度に影響する下段は16度でかなり寒い状態のままだった。

エアコンの風を下向きで効率よく暖房

 次はエアコンの温度設定は21度のまま吹き出し口を下向きに変更してみた。最上段、上段、下段の温度がほぼ同じ曲線で推移、安定状態ではそれぞれ1度くらいの差となった。下段の温度は先ほどの16度から20度近くまで上昇。これくらいなら少し暖かめの服を着れば大丈夫だと思われる温度だ。最下段の温度は少し高くなったが、まだまだ足元に冷気がたまっている感じだ。やはり暖房時はエアコンの吹き出し口は下向きにした方が効率よく部屋を暖められそうだ。

エアコンの吹き出し口:下向きの場合

 温度分布の実験の最後はサーキュレーターの効果の確認だ。サーキュレーターは扇風機の小型版みたいな製品で、部屋の空気をかき回すことができる。サーキュレーターをエアコンに対し対角線の位置、測定ポイントから80センチほど離れた位置に設置し、風速「中」で上部へ風を送ってみた。

 最も温度差の大きかったエアコンの吹き出し口を水平にした状態でサーキュレーターを併用したのが次のグラフだ。実験開始前からサーキュレーターを稼働したので、スタート時に最上段〜下段の温度が同じ温度となっている。これまでは2度くらいあったので、この段階で既にサーキュレーターの効果がみられる。

 最下段から冷たい空気を天井に向けて送り出すせいか、最上段の温度が上段より低くなっている。最上段の数値が一時的に上下しているが、これは1分毎にプロットしているせいで、実際には安定しているように見える部分も小刻みに温度が変化していた。たまたま1分の区切りの温度が上下したり安定したりしたので差があるようにみえる。ちなみに温度計の誤差は計測前にセンサー4本をひもで縛って放置し校正、データ入力時に補正してある。

エアコンの吹き出し口:水平、サーキュレーターを併用した場合

 最上段〜下段の温度差がサーキュレーターなしでは7度くらいあったが、サーキュレーターの効果で1.5度くらいになり下段の温度も16度から20度くらいに上昇した。今回実験を行った狭い部屋ではエアコンの風を下向きにすれば十分と考えられるが、温度差が発生しやすい部屋ではサーキュレーターの併用は効果が期待できそうだ。

 ここまでの実験結果では低い位置から温風を出すファンヒーターは上下の温度差が付きにくい。高い位置から温風を出すエアコンは風の向きが水平では温度差が大きくなるので、下向きにした方が同じ温度設定でも効率よく暖房ができる。サーキュレーターは温度差の解消に役立つことが分かった。

 少々気になっているのはエアコンの最初の実験(風向き:水平)で、開始直後に消費電力が跳ね上がっていることだ。最上段の温度と設定温度の差を考えると、その後の実験も同じような動作になるはずだ。連続して測定すると部屋の壁、天井、床、家具などの温度が上昇すると考え、部屋を冷却後に放置し同じ条件に近づけたつもりだったが、もしかするとエアコン内部(室外機を含む)の状態が最初の実験とそれ以降の実験では異なっていた可能性がある。ちなみに4つの実験の開始時間は23時55分、1時40分、2時50分、3時40分と外気温の変化が少ない深夜に1時間程度のインターバルをもって測定している。

 各グラフのタイトルの右端に記載した数値は実験中の消費電力でセラミックファンヒーターは0.48キロワットアワー、エアコンは0.22〜0.23キロワットアワーとなった。消費電力に関する実験は別途行ったので次回詳しく報告したい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ