まずは税金の金額を決める仕組みを解説しよう。税金を決める期間は1月から12月の1年間。サラリーマンも個人事業主もパートの主婦もアルバイトの学生も全て同じだ。サラリーマンは4月に入社し4月に昇給する人が多いが、年収は1月〜12月の収入となる。パートの主婦が収入を103万円以下に抑えたいという場合も、1月から12月が対象期間となる。個人事業主は1月から12月の売り上げ、経費、利益などを計算し、3月までに確定申告をして納税する。
税金の金額が個人個人で異なるのは、年収、家族構成などを反映するためだ。大学生の子供がいたり、祖父母と同居していると出費が多くなりがちなので、独身の人より税金を少なくしましょうという仕組みになっている。サラリーマンを例に挙げると以下のようになる。
(1)給与の収入金額(年収)−給与所得控除=給与所得
(2)給与所得−各種控除=課税所得
(3)課税所得×税率=所得税
(1)の年収は手取りではなく税金、保険などを天引きする前の毎月の給与とボーナス。交通費は基本的に年収に入らない。給与所得控除はサラリーマンの年収から一定額を税金の対象から控除するもので、サラリーマン生活に必要な経費といわれている。給与所得控除の額は年収により下記の表から求められる。
給与などの収入金額(年収) | 給与所得控除額 |
---|---|
162万5000円以下 | 65万円 |
162万5000円超、180万円以下 | 収入金額×40% |
180万円超、360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超、660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超、1000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1000万円超 | 収入金額×5%+170万円 |
計算してみると、
のように、かなりの額となる。一般的にスーツ代やスキルアップの費用(書籍、研修など)、自宅で仕事をするためのPC購入費用など示すが、年収400万円、手取り20万円の人が134万円=毎月11万円を仕事に使っているとは思えない。筆者は23年のサラリーマン時代はその存在を知らなかったが、独立してみるとうらやましい制度だ。前回の記事の高額所得者に対する増税はこの給与所得控除の上限を245万円にするというもので、年収1500万円以上の人が対象となる。
給与所得控除は必要経費という側面以外に、翌年2月から3月の確定申告後に納税する自営業に対し、毎月納税するサラリーマンは早期納税となるため金利の調整という意味合い、さらに自営業者に比べて所得が正確に把握できるサラリーマンの不公平感をなくすためとも言われている。思わずそれって自営業者は所得をごまかすのが普通だと解釈していいのか、とつぶやいてしまう。
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