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» 2012年03月05日 11時55分 公開

【ブレインライティング法で考えた】自動車の新しい(ユニークな)使い方アイデア発想実践記(2/2 ページ)

[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]
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ステップ9:用紙をバラバラにして関連付ける

 いいね! 印を付け終わったら、アイデアをちぎってバラバラにし、印が付いたアイデアを集めます。



 次に、印がついたアイデアを中心に、残ったアイデアをグルーピングして仕分けしていきます。

 関連付けられるモノもあれば、「このアイデアはどうしたって他のどれにも関連しないな」と思うものは、執着せずにそのままにします。

まとめたグループ コメント・くくり
・廃車をハンマーで壊す
・砂浜に絵を描く
・著名人のサインを施してオークションし、寄付などに役立てる
イベント用途
・エンジンルームで調理できるキット
・ボンネットの熱を利用して風呂を沸かす
災害時のエネルギー源
・知人やコミュニティ間の車のシェアリング
・同じ方向に移動する人を募って、乗り合いに使う
分ける、シェアする、共有する
・カラオケ、ランニング、倉庫、勉強部屋、ペット飼育場として空間を利用 走っていない間の活用
・車体をビルボードにする
・液晶モニタを張り巡らせ、広告に使う
広告スペースとして
・(教習所などを使って)中高生に自動車を運転させ、運転手側の視点で車の危険性を教える体験型イベントペースとして (※)他のアイデアと関連付けはできなかったが、単独で評価が高かったアイデア

 この中で最も盛り上がったのが、最後に挙げた「中高生に自動車を運転させ、運転手側の視点で車の危険性を教える体験型イベント」です。発案した本人は、ラスト2分で苦し紛れに書きなぐったもので自己評価は低かったのですが、他のメンバーが「これはいい」と指摘したため、単独で注目されました。

 いわく「(免許を持たない)学生や主婦は、ドライバー目線で自動車事故の危険性を意識することがない。運転席から自分がどう見えているのか、歩行者や自転車がどんな行動をとると危険なのか、実際にハンドルを握らせて実体験させることで学ばせるのがベストであろう。少なくとも、レクチャー型の講習よりも、強烈なインパクトがあり、教育効果も高いはず」と評価されました。

 発案者本人が、「なるほど〜!」と感心してしまったという、おかしな逆転現象が起きましたが、人のアイデアに乗っかって膨らませるというよい化学反応の一例だと思います。

反省点とメンバーのコメント

 終始アイデアは尽きることなく、さまざまな方向に話は膨らんでいきました。1回目のKJ法よりも、有意義で楽しみながら発案できたと思います。

 今回学んだことは、以下の3つ。

(1)自画自賛をためらうな

 日本人の美徳である「謙虚さ」「控えめな態度」は、アイデア発想にはマイナスに作用します。良いと思ったアイデアは、誰が発案したかは無関係に評価しましょう。自信があれば、堂々と「これ、よくね?」とメンバーに力説しましょう。また、評価するとき「(理路整然とした理屈で)いい」と判断するのが息苦しければ、「何となく好き」という好き嫌いで評価しても構いません。

(2)苦し紛れのアイデアを過小評価するな

 アイデアは「枯渇してからどれだけ脳みそをいじめられるか」が勝負です。こんなしょうもないアイデアしか出ない……と卑下しつつ放った苦し紛れのアイデアだって、他のメンバーには衝撃をもたらすかもしれませんし、おいしく料理してもらえる可能性があります。ネタだろうが悪ふざけだろうが、ガシガシ書き出しましょう。どんな化学反応が起きるか、分かりませんよ。

(3)人に頼り、頼られろ

 完璧を目指すと、心が折れます。中途半端、部分的なアイデアでも取りあえず披露して、他人にいじってもらうくらいの気持ちでOK。「こんなこと書いたら、バカにされないかな」「ふさげていると思われないかな」などと考えないように。一緒にアイデアをブラッシュアップするつもりで、互いに頼ったり、頼られたりしましょう。


 以下、メンバー個別のコメントです。

中山

今回は3人だったが、5〜6人だともっとうまくできたと思う。3人と人数が少ないと、わりとすぐに思考パターンが固まってしまうような気がした。人が多ければ、それだけ考え方や個性が複雑にぶつかりあえるし、その効果で自分の発想も予想外の方向に転がってくれそう。何ごとも、習うより慣れろですね。


岡田

他の人のアイデアを参考にしようとしても、時間的な制約によって直前の1アイデアしか参考にできず、ただの連想ゲームになってしまった。結果として思ったほど面白くないアイデアしか浮かばなかった。むしろ12個くらいなら突拍子もないアイデアを出せたはず。他の人のアイデアを膨らますのは、ステップ8の「評価」で、ゆっくりやった方がいい。


上口

前に出たアイデアに流される傾向があったので、3枚のうち「この紙はカラオケやキッチン(料理)系」こっちの紙は「車をゲーム感覚で扱う系」というように紙ごとに特色が出るような結果となった。また、独立して思い付いたアイデアと他のアイデアを参考にしたもののバランスを取ろうとしてしまったので、もう少し楽に考えて発想できればよかった。


石井さん監修コメント

 ブレインライティングは通常、3つずつ書いて回しますが、今回の方式はイベント性・スピード感があって面白いです。ネーミング案を考える場合に特に有効に働きそうです。人間がアイデアを思い付きやすい要素というのがいくつかありますが、新しい情報に接触した時もその1つです。ブレインライティングはシートが回ってくるたびに新しい情報(新しいアイデア)が大量に手元にやってきて発想力が触発されるという特性があります。

 今回の方式を3人でやった場合、発想の刺激となる量が少ない(2つしかやってこない)のですが、例えば12人でやったなら、シートを回すたびに大量の発想の刺激がやってきて、参加者の発想体験はかなり違ったでしょう。なお時間設計のコツもあります。書きものの場合、1つのアイデアを人が認知する時間はおよそ10秒です。「シートに書かれたアイデアの数×10秒」だけ時間を延ばしていくと他者のアイデアの刺激を効果的に活用できます。例えば12人で今回の方式をやったなら、初めは1分間にして、最後の方は1ターンの終わりは3分間になるように徐々に時間を延ばします。


  3人のコメントには反省の弁が目立ちましたが、1回目のKJ法よりはるかによい結果でした。より短い時間で発想と発表ができましたし、活発に話し合えもしました。なにより意外性のある化学反応が起きたことが、うれしかったです。

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