人は自分に関係のある情報に注意を引かれるものです。注目してほしい内容の文書を作る場合には「誰に読んでほしいか?」を意識してみましょう。
アイデアクラフト・開米瑞浩の「説明書を書く悩み解決相談室」第26回です!
今回は、ある大学で学内の安全、保健などの施策に関わっている高村さんからの相談です。
高村 問題はこれなんです。学内の掲示板に張り出してある文書なんですが……。
カラーコンタクトレンズに関する注意
(1)2009年11月4日より、おしゃれ用のカラーコンタクトレンズ(度なし)が、薬事法上の「医療機器」として、規制の対象となります。
(2)これに伴い、11月4日以後、カラーコンタクトレンズは、薬事法上の医療機器販売業の許可を取得している販売店でないと、購入できなくなります。
(3)また、許可を取得している販売店であっても、2010年2月4日以降、その製品については、一定の安全性を確認したものでないと、販売することができなくなります。
(4)カラーコンタクトレンズは、誤った使い方をすると、眼障害の原因となる場合がありますので、正しくお使いください。
開米 掲示板への張り出しですか……目的は何でしょうか?
高村 この規制対象になっているカラーコンタクトレンズの主なユーザーは若い女性なんです。つまりうちの女子学生にも多いんですよ。
開米 なるほど、それで学生に注意を呼びかけようと?
高村 はい。実際、他大学の学生ですが、眼障害を起こした事例もありました。そこで、学生の安全と健康を守る立場からはこういう呼びかけをしておきたいわけです。
開米 なるほどなるほど。しかし、そうですねえ……あんまり目を引きませんね、これだと。
高村 やっぱりそう思われますか。
開米 はい。掲示板に張っておくだけだと、何が書かれてるかよく分からずに通り過ぎちゃうかもしれません。
高村 そこを何とかしたいです。
高村さんが言うには、この文書の原本は厚生労働省からの通知で、それを若干短くしたものであるということでした。こういう場合、原本は「大学の学内掲示」用に作られたものではないので、そのまま使うのは無理があります。やはり状況に応じて構成を変えなければなりません。
開米 シチュエーションを考えると、学内の掲示板に張り出して読んでもらうためには、遠くからでも注意を引くように大きく目立つアイキャッチが必要です。
高村 注目・理解・行動の流れですか。
開米 そうですね。まずは注目されないことにはスルーされるだけですから「カラーコンタクトレンズに関する注意」というタイトルは変えた方がいいです。
高村 どうしましょう?
開米 いくら注目を引きたいといっても、タレントの写真を使うわけにはいきませんしねえ……。その時話題の有名人の写真というのはアイキャッチ効果が高いので、広告業界はよく芸能人やスポーツ選手を広告塔に起用するわけです。しかし、さすがに単なる学内の掲示文書にその手は使えません。
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