目的は未来の好ましい状態。そして、目標はそこに向かって状態を変えていく途中の到達点です。これはビジネス文書でも頻繁に登場する概念なので、区別して使ってみてください。
私が学生時代のことですが、こんな勉強をしたことがありました。
RICEの法則(ライスのほうそく)とは身体が傷害を負った際に早急に執るべき応急処置における法則の事である。
Rは「Rest」(安静)、Iは「Icing」(冷やす)、Cは「Compression」(圧迫)、Eは「Elevation」(挙上)の頭文字を取ったものである。これらは医学的な根拠から傷害を負った際にできる限り患部の炎症や出血を抑えるための方法である。病院などの医療機関での診断を受けるまではできる限りRICEに則った措置を執る事が推奨されている。
出典:Wikipedia日本語版「RICEの法則」最終更新2012年3月13日(火)01:18
R、I、C、Eのそれぞれについての説明は長くなるので省略します。詳しくは原文リンク先を読んでみてください。
ちなみに学生時代の私は、これが試験に出るというのにまったく分かっていませんでした。全然トンチンカンなことを書いてしまい「おまえはアホか」と先生に怒られたことがあったとかなかったとか。今思えば、地震のような大災害が起きた時、あるいは交通事故の備えのためにも、あらかじめ知っておくべき知識の1つではありました。
何にしてもこんなふうに「知識」を説明して理解する必要がある場面はビジネスシーンでもよくあります。つまり「教育」をしなければいけないときですね。そんな場面を考えると、今回の課題テキストはもう少し構造化を工夫した方が良さそうです。
そこで今回は「目的と目標の区別」という観点で分かりやすい説明書の書き方を考えてみましょう。目的と目標はビジネスの場でも非常によく出てくるのに、あまりハッキリ使い分けられていない単語の代表格です。
試しに、今回の課題テキスト「RICEの法則」について、次のように質問してみましょう。すると、答を見つけるのにちょっと苦労するはずです。
ヒントになる情報はあるものの、明快には書いていない。よって、いざ書き出そうとすると困ってしまうんですね。
目的と目標は、簡単に言うと下図のような関係があります。
つまり目的は未来の好ましい状態であり、目標はそこに向かって状態を変えていく途中の到達点です。
例えば、次のような場合です。
目的を達成するまでの途中の到達点は「1:お金をためる」「2:休暇を取る」「3:沖縄へ行く」などが考えられますね。つまりそれが目標になります。なお、目標が複数ある場合、必ずしもそれが1つずつ順番にクリアされるとは限りません。順不同で達成できることもあります。
目的と目標には、こうした関連があります。目的を決めるとそれに従属して目標も決まってくるんですね。
一方、例えば「お金をためるために飲み会に行くのをやめて節約する」という行動をもし取るとしたら、それは「お金をためる」という目標を達成するための「手段」と言えます。目標にはそれぞれ別な手段が対応します。例えば「東京から沖縄へ行く」ためには普通は、「飛行機」という手段を使うことでしょう。
そこで、何らかの目的を達成するための行動について人に説明する時は、下のような一連の流れを明らかにする必要があります。
具体的な行動というのは、ほとんど手段に該当します。よって、行動が一体どんな意味を持つのか理解を得るためには、現況、目的、目標、手段(行動)という一連の関係を構造化する必要があります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.