折れ線グラフと棒グラフには向き不向きがあって、使い分けなければいけない――。基本的なことですが、実際にこれができている人は非常に少ないのです。
アイデアクラフト・開米瑞浩の「説明書を書く悩み解決相談室」第33回です!
今回はまず、簡単な次の問題を考えてみてください。
それぞれのデータの性質を考えると、どんなグラフを使うのが適切でしょうか?
交通手段 | 平均速度 |
---|---|
自転車 | 時速10キロ程度 |
自動車(高速道路) | 時速100キロ程度 |
ジェット旅客機 | 時速900キロ程度 |
モデル | 最高速度 |
---|---|
C1型 | 秒速1メートル程度 |
D5型 | 秒速5メートル程度 |
E17型 | 秒速17メートル程度 |
早速解答を示すと、この2種類のデータはいずれも棒グラフを使います。ただし、その方向を縦と横で使い分けます。
ほとんどの交通機関は横方向に移動します。よって、速度をグラフ化する場合も横方向に棒グラフを組んだ方がその速度差をイメージしやすくなります。また、ジェット旅客機は空を飛ぶので最上部に置き、一般道に比べると高架式になっていることが多い高速道路を走る自動車はその下、のような具合に上下の位置も実世界のイメージに合わせてあります。
一方、エレベーターは通常、縦方向に移動します。そのため、同じように速度を表すデータであっても、エレベーターの場合は縦棒グラフを組んだ方がイメージしやすくなります。
ポイントは、どちらにしても「実世界をイメージしやすいグラフにする」ことです。これはグラフを使う場合に意識しておきたい基本的なポイントなのですが、意外に忘れられていることが多いようです。
というより、グラフの種類をきちんと使い分けなければいけないこと自体があまり知られていないのかもしれません。
この件について私は一度あることを試して驚いたことがありました。
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