備品などを購入する際にクレジットカードを使用する人も多い。この場合の記帳方法を考えてみよう。カード決済を正確に記帳するには、購入した日と引き落とされた日の2度の記帳を行う。例えば月末締めで翌々月5日引き落としのカードを使用した場合、3月11日に購入したら、その日と5月5日に記帳するということだ。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 3月11日 | 消耗品2万円 | 未払金2万円 | タブレット |
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 5月5日 | 未払い金2万円 | 普通預金2万円 | クレジットカード引き落とし |
しかし、この方法では事務作業量が2倍に増え面倒だ。そこで以下のように記帳すれば1度で済ますことができる。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 3月11日 | 消耗品2万円 | 事業主借2万円 | タブレット |
ここで貸方に出てきた事業主借(じぎょうぬしかり)という言葉の説明をしよう。個人事業主は事業のお金と個人のお金をキッチリ分けることは難しい。自宅と事務所を分け、クルマも事業専用車を用意、携帯電話も仕事用を別にして、銀行口座、クレジットカード、持ち歩く財布も2つ、と完全に分けない限り事業と個人のお金が混ざってしまう。
そこで登場するのが事業主借だ。個人の財布に入れた現金で備品などを購入した場合は、事業主側から見て個人のお金を借りているので事業主借という。逆に事業用の口座から個人の支出にあたる出費をした場合は事業主貸となる
サラリーマンが備品を立替払いで購入した場合の精算をイメージしてほしい。現金だろうが、クレジットカードだろうが、会社側からすれば関係ない。仮に3月11日に仕事に必要な備品をカードで購入したら数日後に1度だけ経費の請求をしているはずだ。5月に引き落とされるまで経理からお金をもらわないということはないだろう。個人事業主も同様な考え方で1度で記帳を済ませたい。
事業主借と仕訳すれば、事業用の備品を個人の財布で立て替えて払ったことになる。言い方を変えると、個人が事業に出資したということだ。事業主借は累積し決算で自動的に元入金(個人から事業への出資金)としてまとめて処理される。
この方法を拡大すると、ほとんどの経費の貸方を事業主借とすることもできる。売り上げなどが振り込まれる事業用の口座から引き出したお金は全て個人のお金とし、個人の現金、個人の銀行口座、個人のクレジットカードから支払った経費は全て事業主借で処理する。事業用の現金が動くことがなくなるので現金出納帳なども不要となる。
この方式で恩恵が大きいのは個人の預金口座だ。個人の口座から事業に関係する水道光熱費、家賃、月極の駐車場、新聞代などの引き落としがある。当然、事業に関係ない生活費や買い物やネットオークションなども通帳には記載されている。口座残高を帳簿と合わせるために事業に関係ない入出金を帳簿に記帳するのは大きな手間だ。経費の貸方を事業主借とすれば個人口座の管理も不要となり事務作業量の削減につながるはずだ。
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