辞めるか、辞めないか悩む前にRe:Work !(2/3 ページ)

» 2013年04月26日 11時00分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]

安易な“第一歩”なら進まない方がよい

 日本社会に生きる以上、残念ながら職歴を重ねることはマイナスになることも多い。スタートアップなどではいろいろな環境で積んできた経験が評価されることもあるが、ほとんどの日本企業ではそうもいかないからだ。

 私は人材業界に在籍していたわけだが、転職回数や1社における就業期間の短さが理由となり、不採用となることは非常に多かった。またそれ以外にも、まったく異なる業界、職種への転職を繰り返すことで、企業からは「いろんな経験を持っている」ではなく「一体、何がしたいのか分からない」と懸念を抱かれることもある。ほとんどの企業は長く勤めあげてほしいと望むため、すぐにまた転職してしまうような可能性は回避したいのだ。

 新卒1社目は、どんな仕事であれ得るものはたくさんあるだろう。私がそうだったように、“社会人経験を持つ若者”として、異なる業界、あるいは職種への転職もある程度選択は可能だ。第二新卒採用などというものは、まさにこれである。社会人経験を積む中で“本気でやってみたいこと”が見つかったのなら、臆せずチャレンジしてみれば良い。

 しかし転職先は、決して安易に決めてはいけない。先に述べた通り転職を重ねること、あるいは短期間で退職してしまうことは、仕事をするうえでマイナスになってしまうからである。転職をするのであれば、当然ともいえるが以下のことを突き詰めて考えておいてほしい。

  • なぜ転職するのか(転職によって何を求めるのか)
  • 不満があるのなら、転職によって確実にその不満は解決できるのか
  • これからどんな人生を歩んでいきたいのか

 ここで、転職する先への興味ややりがいを考えるべき意見もあるだろう。ただ残念ながら、私はそこまでそれらを重視すべきとは思わない。3つ目の問い「どんな人生を歩んでいきたいのか」で仕事を第一に考えるのなら、興味ややりがいは大切だろう。しかしそうでなければ、仕事に多くを求める必要はないと思うからだ。例えば、次のような選択肢があるとしよう。

  • 仕事はやりがいがありそうだが、超ハードワークで休みが取れない
  • 仕事は可もなく不可もなくだが、フレックスタイムである程度自由なワークスタイルが持てる

 もし家族との時間を持ちたい、あるいは充実させたい趣味があるといったプライベート重視型なら、前者では残念ながらその願いが実現できそうもない。もちろん後者に加えて仕事にもやりがいがあれば良いが、そう簡単にいかないのが転職である。会社という組織である以上、全てが自分の思いと完全一致する確率など極めて低いと認識してもらいたい。

 こうしたことをよく考えず、ただ逃げるように、あるいは勢いで転職したとしよう。転職してから転職先の“アラ”が見えてきて、すぐにまた不満を抱くようになってしまう。人間というものはワガママなので、自分の望みや思いが落とし込めていないと、周囲にすぐマイナス要素を見いだしてしまうのだ。そうして意味なく転職を繰り返してしまうくらいなら、その一歩を少し待って「幸せな働き方探し」をしてみてほしいと思う。

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