辞めるか、辞めないか悩む前にRe:Work !(3/3 ページ)

» 2013年04月26日 11時00分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]
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働き方は山ほどある

 会社員に限らず、今や働き方は実に多様化している。正社員や契約社員、派遣社員など雇用型をはじめ、フリーランスなど個人事業として仕事に取り組むケースも増えているのはご存じだろう。特にフリーランスについては、インターネットの発展によって挑戦しやすい環境が整ってきている。

 しかし覚えておいていただきたいのは、どの働き方も「一長一短」であるということ。社会的には正規雇用を増やせと躍起になっているが、正規雇用が必ずしも一番良い働き方とは思わない。フリーランスはそれこそ時間に縛られず“自分の意志で”仕事ができるが、正社員はフレックスを除いて勤務時間が決まっている。対して派遣社員は時短勤務などある程度勤務時間や曜日に融通を利かせられる一方で、派遣会社から期間中は雇用されているという側面を持つ。

 時間的にもっとも自由なのはフリーランスだが、最もリスクが大きいのもまたフリーランスだ。会社員は確かにいつ会社が倒産したり、解雇されるか分からない。しかしフリーランスはその日ではなく、まさに明日には生活難になる可能性だってあるわけだ。会社に所属していればあなたの失敗は最終的に会社の失敗となるが、フリーランスの場合、あらゆる責任は自分にある。

 もし今と働き方を変えたいと望むのなら、どんな働き方を選ぶべきか、そのメリットとデメリットの両面をよく理解した上で先へ進んでほしい。その時点で「どうすれば良いか分からない」なら、無理に辞める必要はない。しっかり情報を集め、また自分の望む働き方をじっくり考えれば良いだろう。

 最後に「辞める」選択をする場合、そのタイミングについても悩むと思われるので、その点についても触れておきたい。例えば転職エージェントなどへ相談に行くと、多くの人から「次が決まってから辞めることを告げたほうが良い」と言われるだろう。退職した時点で次の仕事が決まっていなければ、当然ながら無職。仕事だけでなく、収入も得られないことになるので、そんな意見が出るのも当然だろう。

 しかし私は、必ずしもそうだとは思わない。

 例えば子どもがいる男性なら、確かに収入を得られるという状態は維持したいところ。私も2人の子どもを持つ親なので、それならばできるだけ次を決めてから……と勧めたい。この点は、あくまで当人の環境によることだとあらかじめ伝えておく。ただ、例えば1人暮らしの人や、結婚していても子どもがおらず、相方が働いているあるいはある程度貯蓄があるのなら、即決退職してしまうのも1つの手だと思うのだ。

 「辞める」ことで、見えてくるものもある。仕事も何もなく開放されてみることで、より深く自分自身の今やこれからを見つめることができるかもしれない。これまで述べたように安易な退職は勧めないが、本気で会社を出るべきだと思うのであれば、「次が決まっていること」はMustではないのではないか。もちろん働かなければ生きられない社会なので、本当のピンチになる前にはなんとかしなければいけない。その覚悟は、持った上で決断をしてほしい。

 あまり無責任なことも言えないのでこの辺にしておくが、最後の決断は自分に正直に、思うままに選んでいただきたい。自分の人生において選択するのは自分自身であるし、人生はたった一度なのだから。決断を躊躇(ちゅうちょ)することが、大きなチャンスを逃すことだってあり得るのだ。

著者紹介:三河賢文(みかわ・まさふみ)

 1983年岩手県生まれ、宮城県育ち。人材コンサルティング会社、Web関連会社での勤務を経て、2010年6月にナレッジ・リンクスとして独立。「時間の自由」を第一としたワークスタイルを実践中。多くのSOHOやフリーランスワーカーとパートナー関係を持ち、業務機会の提供を行っている。プライベートでは2人の子どもを持ち、マラソンやトライアスロンにも挑戦。ITやビジネス全般を中心とした執筆活動も行う。



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