相手に通じるところから始める
コミュニケーションギャップを埋める具体的な方法論としては、「合わせる」があります。
「合わせる」と言っても、相手に従うということではありません。中国の古典では「まず、その人間に通ずるようなところから始めよ」という言葉があるそうですが、最初から相手に拒否されてしまって、コミュニケーションが成り立たないのでは意味がないので、まず相手の状況や価値観に合わせて話を始め、それから自分の考えにリードしていくのです。これは職場でも同じことが言えます。
例えば、部下がスケジュール通りに仕事をしてくれないとき「おい、納期はいつだと思っているんだ! オレが若いとき、納期が遅れたら先輩からこっぴどくしかられたものだぞ。これだから最近の若いヤツはダメなんだよ」のように伝えたら、やる気を失ってしまうか、聞く耳を閉ざされてしまう可能性大です。
そこで、部下に「合わせる」を意識してみます。部下がどういう状況にあるかを考え、合わせてから、自分の意見を言うようにするのです。「こう忙しいと、納期を守るのもなかなか厳しいよね。けれども、これを乗り越えたらすごく成長できると思うよ。納期までに終わらせるようにがんばってみて」などのようにです。
逆に若い世代のほうが上司に、納期に遅れそうな仕事について伝えるとき「こんな無茶な納期、最初からできるわけないじゃないですか。○○さんはいつも仕事を押し付けるだけなんですから……」のように伝えたら、やはり反感をかってしまう可能性大です。
ここでも、上司に「合わせる」を意識してみます。上司がどういう状況にあるかを考え、合わせてから自分の意見を言うようにするのです。「スケジュール全体を管理するのは、きっと大変な仕事だと思います。いつもありがとうございます。実は納期について相談があるのですが、○○の納期が○○のために遅れそうなんです。そこで……」などのようにです。
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