「最近の若い人は何を考えているのかよく分からない」と感じている人も多いのでは。一方、若い世代にとっては、上の世代の言動が理解できなこともしばしばあるはずだ。そんな世代間のギャップをどのように埋めればいいのか。
1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。
自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。
米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)がある。
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先日、ある会社で中間管理職のAさんと打ち合わせをしたときのことです。
「竹内さんはコミュニケーションがご専門とのことですが、実は私、今、困っていることがあるんですよ」
職場の中にある会議席だったので、Aさんは周囲を一通り見渡すと、声のボリュームを落として、こう言いました。
「大きな声では言えないんですけどね。最近の若い人は弱いなあと思っているんですよ。竹内さんは今いくつですか? 42? 私の2つ下だから分かると思うんですけど、私たちが若いときは先輩からゴリゴリやられてきたじゃないですか。悔しい思いもたくさんしましたけど、チクショーと思って何とかやってきました。けれども、最近の若い人はちょっとキツく言うとすぐ落ち込んでしまって……。
昔は、私も先輩に『最近の若い奴は……』って言われてきましたけど、今では私もつい、そう言いたくなることがたくさんありましてね。それでも、若い人と一緒に仕事をしていかなければいけないから、どう接したらいいのか分からなくて……」
ここで言う「ゴリゴリ」とは、いわゆる叱咤激励や「〜ねばならない」「〜すべき」という言葉に代表されるような指導のことです。
私自身も、上司からゴリゴリ指導されてきました。そして自分が管理職になったとき、同じような接し方をしました。けれども周りの部下が付いてこなかったり、すぐに落ち込んでしまったりしてしまいました。
そこで何とかしたいと思うのですが、自身の経験として指導と言えば「ゴリゴリ」しか知らないので、どのようにしたらいいのかよく分からなかったのです。
そんな体験があったので「あ〜、分かります」と言いながら、Aさんの話をうかがっていました。
このような話になると「コミュニケーション力のない上司が悪い」「忍耐力のない部下の問題だ」といった話になりがちです。確かに、その一面もあるのかもしれません。しかし、コミュニケーション力や忍耐力の問題で片づけてしまう前に「なぜそうなってしまうのか」という時代背景を考えた上で、「どのようにしたら、職場のコミュニケーションがよくなるのか」について考えてみたいと思います。
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