O2OとしてのLINE@今日からはじめるLINE@(1/2 ページ)

最終回となる今回は、LINE@のO2O(オンライン・ツー・オフライン=ECと実店舗の連携)ツールとしての側面を確認する。TwitterやFacebookなど既存のメディアとどう組み合わせるのが効果的なのだろうか?

» 2013年06月18日 10時40分 公開
[まつもとあつし,Business Media 誠]
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 これまで4回にわたりLINE@の概要を見てきた。短期連載ではあったが、本記事に沿って申し込みや設定、操作を行えば、もう顧客への情報発信ができているはずだ。

 最終回となる今回は、LINE@のO2O(オンライン・ツー・オフライン=ECと実店舗の連携)ツールとしての側面を確認して連載を締めくくりたい。


メルマガの代替からO2Oツールへ

 現在、筆者はブロガーのコグレマサト氏との共著『LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?』(マイナビ新書)の続編として、LINE@の活用法についての書籍を制作中だ。そのため、本連載中も並行してLINE@導入企業や自治体への取材を進めている。

 その中で改めて見えてきたのは、「月額5250円からと運営側としては簡単に始められ、一見機能もシンプルに見えるLINE@だが、さまざまな側面を持つあるいは持たせる」ということだ。

  • (A)QRコードやLINE@公式ページなどを通じた新規顧客獲得
  • (B)既存顧客へのセールなどの情報発信
  • (C)クーポンによる購買・来店促進

 従来、顧客へのPush型の情報発信手段としてはメルマガが一般的だった。しかし、それは上に挙げた「(B)既存顧客への情報発信」を実現するだけで精いっぱいというのが実際のところではなかっただろうか。もちろん、メルマガ登録を自社媒体や広告などで促したり、クーポン画面を用意し、そこにリンクを設定したりといった手法は可能だが、効果はなかなか生みにくかった読者も多いはずだ。

 LINE@は「(A)新規顧客獲得」の際、ウェルカムメッセージとともに登録のインセンティブでクーポンを配付できる。このクーポンを目当てに「取りあえず登録してみる」顧客の獲得が期待できるわけだ。面倒なメールアドレスの記入や、登録に当たっての認証を経る必要もないので、メルマガに比べ格段にこのハードルは低い。

 そして、本連載で主に見てきたようにクーポンの発行も極めて簡単だ。これによって「(C)購買・来店促進」がテキスト主体ではなく、ビジュアルな画面の演出とともに図れるのもこれまでになかった特徴といえるだろう。

 この特徴を持ち合わせることで、LINE@にはO2Oにおける強力なツールとなり得る。現在、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスを実店舗に導入する動きが急速に進んでいる。例えば、これまでは高額なリース料が必要であったPOSレジをタブレットで置き換えたり(参考記事:iPadアプリ「ユビレジ」が被災地の居酒屋をPOSレジの二重債務から救った)、やはり専用端末が必要だったクレジットカード決済をスマートフォンで行えるツールがそれだ。LINEそのものを実店舗のスタッフ同士の連絡手段として使う例も多く見られ、スマートデバイスは実店舗におけるマルチ機能を備えた「主力装備」としての地位を固めつつある。

 LINE@の情報を見て顧客は必ずしも実店舗に足を運ぶとは限らないが、そこでEコマースの受け皿――つまり同じ商品が同じ条件で購入されるようになっていれば、LINE@からの情報が届いたその場でECでの商品購入を促すこともできる。

 現在のところはLINE@から直接商品紹介画面には遷移できず、いったんランディングページを経由することになるなど幾つかの制約はある。しかしそこでの演出をしっかり行うことで、コンバージョンを高めることができるはずだ。来店促進という面だけでなく、オンライン上での購買が完結できるよう準備を整えておくことで機会損失を減らせる点は意識しておきたい。

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