これも、「どうしたいのか」というイシュー(仮説)から考えるという「問題解決」スキルの基本に立ち返ることの1つ。第一に、その転倒しやすい階段で急いでしまうのは、「部品を早く次の工程に移動させたい」という目的があるからでしょう。そうであるならば、部品を最少で移動できるように作業動線そのものを変えて、問題の階段を通らなくてもいいように改善するということもできるはず。
「階段をどうするかではなく、動線そのものを変えてしまいませんか?」 そんな提案に現場の責任者は思わずハッとしたのを覚えています。
このように問題だと思っていることが、実は問題ではないということはたくさんあります。気を付けなければいけないのは、問題解決には「私たちが注意を向けたところが活性化してしまう」という傾向があるということです。相手が「この部分が問題なので解決したい」と言っていても、話を聞きながらも、意識のどこかで「真の問題が別にある可能性は?」というクリティカル思考も同時に働かせることも忘れてはいけません。
問題解決をすることも大事。ですが、それ以上に「真の問題は何か」という問題把握力も大事だということを覚えておいてください。一生懸命、何かの問題解決に取り組んでいるのに、何だかうまくいかないというときはいったんその問題を横において、「問題そのものが違うのではないか?」と疑ってみるといいかもしれません。
今回まで、どこにいっても通用するマッキンゼーの「問題解決」スキルを身に付けるために必要なプロフェッショナルの姿勢を見てきました。次回からはマッキンゼーのプレゼン技術を紹介していきます。お楽しみに!
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