『マッキンゼー現代の経営戦略』――6つの戦略フレームワーク藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー

絶版後、数万円で取り引きされていた経営書、それが『マッキンゼー現代の経営戦略』だ。大前研一率いるマッキンゼーが、40社の経営者を集めて行なったセミナーをまとめたもので、戦略構築の基本を知るために外せない1冊である。

» 2009年10月16日 14時21分 公開
[藤沢烈,Business Media 誠]
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 絶版後、数万円で取り引きされていたこともあった経営書がある。若干35歳の大前研一率いるマッキンゼーが、40社の経営者を集めて行なったセミナーをまとめた『マッキンゼー現代の経営戦略』である。トップが考えるべき6つの戦略フレームワークが紹介されている。さすがに時代を感じさせるが、戦略構築の基本を知るために外せない1冊だ。

6つの戦略フレームワーク

 6つのフレームワークに共通するのは、問題の本質的な課題を見極め、その上でアクションを考案する点である。

  1. Product Market Strategy:製品戦略に用いる。造船業なら生産設備、百貨店なら品揃え、酒なら販売網、エレベーターならサービスといった具合に、製品ごとに求められるKFS(成功の鍵)を理解した上で、対応するアクションが必要になる。
  2. Product Portfolio Management:全社戦略に用いる。同じKFSとなる事業ユニットを括ってSBU(戦略的事業単位)を設定。SBUごとに事業の進捗をチェックする。
  3. Technology Portfolio Management:技術開発に用いる。自社と市場の分析を通じて、保有する技術ごとに事業戦略性と技術戦略性を理解。投資の濃淡をつける。
  4. Profit Improvement Program:製造コスト適正化に用いる。固定費・変動費に分解した上で、どの費目が損益分岐点改善に効果があるかを理解。その後に打ち手を検討する。
  5. Sales Force Management:販売業績を分解し、営業が回り切れていないカバレッジの問題なのか、回れているが競合に負けるシェアの問題なのかを、漏れ分析により理解。その後に販売戦術を構築する。
  6. Overhead Value Analysis:管理コストの削減に用いる。間接費ごとに業務における価値を定量化。掛けられている費用とのバランスにより、削減優先順位を決める。

本質的な課題を理解する

 本著や『経営参謀』などでマッキンゼーは積極的に自社フレームワークを社外に流出させた。フレームワークだけ知っても問題解決はできないからだ。問題領域の設定と、その範囲における本質的な課題の理解。その必要性は、30年たった今でも変わることはない。

著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)

 RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1200冊超。


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