コミュニケーションスキルが高い人は、相手から必要な話をうまく引き出しています。とくに、「成果」が問われる場面でのコミュニケーションでは、「聞く」ことは話すことと同じくらい大切です。
本連載は、金子敦子著、書籍『「で、結局何が言いたいの?」と言われない話し方』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。
「そんなつもりじゃないのに……」
「なんで、分かってくれないの!」
「聞いてないよ、って言われても」
一生懸命話しているのに思った通りに伝わらない、話しているうちに伝えるべきことが分からなくなる……。こう感じたことがある人は少なくないのではないでしょうか。
本書では、「打ち合わせ」や「会議」「プレゼン」など、さまざまな場面におけるコミュニケーションのポイントを紹介。仕事で必要な「本当に使えるコミュニケーション能力」を身につけるコツをやさしくまとめました。
・伝わらないほうがあたりまえ
・表現だけでなく、中身も大事
・打ち合わせのゴールは、「誰が」「いつまでに」「何をするのか」
・プレゼンのゴールは、聞き手の成果につながること
・飲み会は「楽しむのが目的の会議」
「誤解なく、確実に自分の言いたいことを伝える力」が身につく1冊です。
「コミュニケーション力を高めよう」というと、うまく「話す」ことだけに重点を置きがちです。ワーッと、とにかくたくさんしゃべることが大事だと思っている人は少なくないのではないでしょうか。
例えば、コピー機の営業マンが、立て板に水のごとく5分間ずっと商品のよさをおきゃくさまに話したとします。しかし、おきゃくさまに「いやあ、うちは先月コピー機を買い替えたばかりなんだよね」と言われたら、それでおしまいです。
コミュニケーションがうまい人は、おきゃくさまから必要な話をうまく引き出しています。「成果」が問われる場面でのコミュニケーションでは、「聞く」ことは話すことと同じくらい大切です。
「聞く」には、大きく2つの方法があります。1つは、文字通り、相手の話を受けとめる「聞く」です。2つ目は、確認や質問など、聞き手が言葉を発しながら引き出す「聞く」です。「聞き出す」とも言え、会話を組み立てる役割を果たします。では、まず基本的な、受けとめる「聞く」から見てみましょう。
「聞いている」ことを相手に伝えるために、(1)表情、(2)アイコンタクト、(3)相づちの3つの態度で示します。
聞いていることを態度で示すと同時に、自分の見解と違ったとしても相手の言葉をきちんと受けとめましょう。キャッチボールで相手のボールを受けるように、相手の言葉をまずは一度受けとめて理解します。
相手の話が自分の考えと違っていても、真っ向からの否定は避けましょう。
英語圏では、日本よりもものごとを言葉ではっきり伝える傾向にあると言われることもありますが、頭ごなしに「あなたの言っていることは間違っている」とは言いません。「あなたの言うことにも一理あるけれども……」と前置きしたうえで、自分の見解が違っていることを伝えます。
たとえ、相手の発言に引っかかるところがあっても、まずはひと呼吸おきましょう。一度受けとめたうえで、異なる視点があることを伝え、共有できるポイントを見つけていきます。
「聞く」には、「受けとめる」と「聞き出す」の2つがある
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