離職率25%超で困った! サイボウズを変えたワークスタイル変革テレワークの今(2/3 ページ)

» 2014年08月12日 08時30分 公開
[宮田健Business Media 誠]

ブラック企業になるか、それともホワイト企業になるか?

 2007年から導入した選択型人事制度は、それまで1つの目標に向かって全員が“昭和的”に働くスタイルをやめ、育児休業など多様化する働き方ができ、より長く働ける環境を作ることを目指した。現在、同社社員の7割が「PS」を選んでいる。

 この制度のおもしろいところは、「PS」と「DS」を1年ごとに切り替えられる点だ。「PS2」は勤務時間を自身で管理する裁量労働制によるワーク重視型、「PS」は月間残業時間40時間程度のワークライフバランス型(勤務実績を上司に報告する義務あり)、そして「DS」は残業なし、もしくは短時間勤務のライフ重視型だ。それぞれのライフステージに合わせて、柔軟な選択肢を提供している。

新たな働き方の選択 新たな働き方の選択(出典:サイボウズ)

 このほか、「子どもが小学校に就学するまで(最長6年間)」「何度でも(回数無制限)」取得できる育児休業制度も特徴的だ。家族の看護のための休暇も無制限で取得できる(有給休暇扱いは1年間で5日まで)。「社員の4割が女性だと、産休や育休はローテーションのようなもの。それを前提としないと会社が成り立たない」(野水氏)

 高度成長期型の人事モデルはすでに崩壊している。誰もが管理職にまで出世できるわけもなく、全員の給与を上げ続けることもできず、全員が24時間常に働き続けることも不可能だ。生産年齢人口は下降線をたどり、上司2人に部下1人の時代がやってくる。

 企業が生き残るためにはどうしたらいいのか。同じような役割を複数の社員に割り当て、競争させることによって成果を求める「ふるい落とし型」のブラック企業になるか。さまざまな個性をもった社員が集まり、共通の目標(ビジョン)を達成するためにチームを作り、役割を分担して協働する「どこにもない個性型」のホワイト企業になるか。サイボウズの人事制度は、後者に基づいている。

 「選択型人事制度を導入した目的は企業競争力の強化であり、それができる労働環境を実現する手段にすぎない。決して福利厚生ではないし従業員に甘い会社にしたいわけでもない」(野水氏)

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