チームの計画を進めるためには計画に条件をつけるビジネスチームハック

ToDoリストを作っても、締め切りを過ぎてから取り掛かる人が一定数います。それはタスクの書き方があいまいだからかもしれません。

» 2015年02月06日 10時30分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

 やることリストや付せんなどを使ってToDoリストを作ってみたものの、いざ実行段階になると何とかやらずに済む方法はないものかと考えてしまう。あるいは、チームでタスクリストを共有してみたものの、どうにもメンバーのやる気が上がらず進捗状況が悪い。

 このような話はとてもよく聞くものです。このような状況に対する手っとり早い解決策の1つとして「条件をつけた計画を立てる」というやり方があります。

条件をつけた計画を立てるとは?

 考え方自体はとてもシンプルです。タスクやスケジュールに「○○する」と単純に書くのではなく、

Xならば、Yを実行する

と、プログラムのように書くのです。

 例えば、ただ「週次レビューの報告」と書くだけでは、チームメンバーのほとんどが締切日を半日も過ぎてから「取りかかる」と聞きます。締め切りに間に合わせようとするどころか、それが過ぎてからようやく取りかかる気になるというわけです。

 メンバーの中には、そもそも週次レビューというタスクにかかわりが少ない人や、単純に締め切りの存在を完全に忘れてしまった人などもいることでしょう。これまでは、そういう人たちに対して「週次レビューとは大切なものだ」というように意識を変えてもらうための施策を講じるのが一般的でした。しかし、一人ひとりに異なるアプローチが必要になるなど作業量は増える一方です。

 しかし、条件をつけた計画を立てるやり方なら、ずっと簡単です。

木曜日の午後になったら、週次レビューの報告にとりかかる

とでもしておけばいいわけです。

 とある調査によると、こういう条件をつけると締め切りを過ぎてから取り掛かるまでの時間が1時間程度に収まるといいます。遅れること自体はなくなっていませんが、1時間と半日とでは大きく違いが出てきます。

 私達は、具体的でない指示を受けることを苦手とします。タスクリストを作る際には、できるだけ具体的にタスクを分解して、すぐに行動を起こせるようにすべきだと言われています。なぜならば、具体的でないタスクは先送りにしがちになり、締め切りを過ぎてから仕方なく考え始めることが多いからです。

「テンミニッツ」シリーズとタスクシュートに共通するもの

 「テンミニッツ」シリーズ(カンミ堂)というユニークなスケジュール管理ツールがあります。簡単に説明すれば、付せん1枚にタスク1つを記入し、デイリーのスケジュール帳に並べていくものです。付せんの幅をタスクの見積もり時間に応じて太くしたり細くしたりするのがポイントです。

 これはまさに「条件をつけた計画だけが並ぶデイリーの計画表」になります。なぜならば「9時に出社したらメールチェックする」「10時にメールチェックが終わったら、会議に出る」という形式にならざるを得ないからです。

 普通の手帳にスケジュールを書いても同じではないか?――そう思う人もいることでしょう。全然違います。まず、一般的な手帳には1日のうちにやることを全部書くためのスペースがありません。また、一度書き込んだスケジュールは何か予定が変更になったときに書き直さなければなりません。付せんを場所を貼り替えるほうがよっぽど簡単です。

 筆者は付せんで管理するのも手間だと思うので、同じようなことをデジタルで実践しています。それが「タスクシュート」です。

大事なことだけリストでは空白に対応できない

 やることを全部付せんで並べたり、タスクシュートで管理したりしなくても、「大事な仕事だけ」にした方がシンプルでいいはずだという人が多くいます。しかし、条件をつけた計画という方法をよくよく考えてみると、大事な仕事だけを管理するのは現実的ではありません。

 なぜなら、スケジュール帳に空白があったとき、そこでどうしたらいいかが、よく分からなくなるからです。例えば「午後1時になったら、空白だから休む?」――そういうわけにはいかないでしょう。

 私達はいつだって、何もしないというわけにはいかないのです。まして連日3時間も4時間も残業しているような猛烈に忙しい人が、空白になったからといってずっとぼんやりしているのは不合理です。

 休憩も必要だというのはいうまでもありません。しかしその休憩も

12時だから休憩する

大きな仕事を片づけたから休憩する

とすべきです。すなわち休憩から仕事まで、1日のすべてを一本の時系列にリストアップする必要があるわけです。

筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。

著書に『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』『クラウド時代のタスク管理の技術』などがある。

ブログ「ライフハック心理学」主宰。

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