残業削減、休暇取得は社員の“課題”――ファイザー(後編):“有給&残業”攻略法(2/2 ページ)
前回ファイザーの残業削減への取り組みを紹介した。今度は有給休暇取得への取り組みについて聞いてみた。残業削減、有給休暇取得における大きな課題もあった。
理想と現実のはざま 問題を解決するには
ここまで聞いたところで疑問が浮かぶ。残業削減や有給休暇取得をいくら推進しても、業務量自体が減らなければ実現できない。ファイザーはこの問題をどのように解決しているのか。
「あしたできることはあしたにまわすことが大事」と奈須野さんは言う。つまり仕事をいかに優先順位付けするかが必要なのだ。しかし「上司と部下のコミュニケーションがうまくとれていることが前提です」と海宝部長。仕事をきちんと割り振るため、毎月上旬、中旬、下旬に上司と部下が話し合い、時間の使い方を考えるよう、啓発している。
また、会社と組合が一緒になって「ワークライフマネージメント・コミッティ」を立ち上げている。会社全体でコミッティを開催すると同時に、部門によって問題が異なるため、営業分科会、本社分科会、臨床開発分科会、工場分科会の4つを用意し、それぞれ3カ月〜6カ月に1度のペースで、残業時間、有給休暇取得率、制度の問題、提案など細かな内容を話し合っているという。
最終的には残業をゼロにしたい
「社員の健康と安全を守るために、残業削減や休暇取得への取り組みは必要ですが、効率化しても、どうしても突発的な業務というものは発生してしまいます。残業ゼロは理想ですが、できない現実もあります。それに『残業をゼロにしてください』という押しつけはしたくない。社員には36協定を順守すること、長時間労働を減らすこと、業務改善することがみなさんの“課題”ですとして説明しているんです。その結果として、ワークライフマネージメントを達成していけたらと思っています」と奈須野さん。
海宝部長は、「働き方を改善する文化は、徐々に浸透してきました。今後も継続して啓発していきます。まだまだ帰れないという人はいますし、全員の意識が変わるために努力をしたい。夢かもしれませんけど、最終的には残業をゼロにしたいですから」と今後の目標を掲げた。
製薬会社であるファイザーとしては、社員の健康を重視し、残業や休暇に高い意識を持つのは当然のことなのだろう。しかしやはり“仕事量は減らない”というジレンマを抱えていた。そんな中でも、理想と現実のギャップを埋めようと、取り組みを模索している姿勢にはとても共感が持てる。
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