どの業界が一番休みを取れる?:“有給&残業”攻略法(2/2 ページ)
「どんな企業に行ったらたくさん休めるんだろうか」と考えたことはありませんか? もっとも休暇が取りやすい業種、逆に取りにくい業種を紹介します。
特別休暇もほしいところだ
企業によっては年次有給休暇以外にも、休暇制度をたくさん用意している。こちらも厚生労働省の資料「特別な休暇制度導入の企業の割合」を見ていこう。
ここで言う「特別な休暇」とは有給、無給は問わず、休日や法定休暇(年次有給休暇、産前産後休暇)以外に付与している休暇のことをいい、就業規則などにおいて制度(慣行も含む)として認められる休暇のことを指す。
63.5%の企業が特別休暇を導入。資料を見ると夏季休暇、病気休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇、教育訓練休暇などがある。割合としては夏季休暇が48.7%と半分近くを占め、次いで病気休暇が多い。
夏季休暇の付与はよく耳にする。先日紹介したファイザーでは夏季休暇は、有給休暇でまかなう形のようだが、未来工業のようにお盆に会社全体で休む「公休」にするところも目立つ。取引先が休みとなれば自分の会社も仕事がないということもあり、お盆の休日が多いことも事実だろう。これが、「休暇の使い方が下手」と言われる原因になっているのかもしれないが。
そのほかの1週間以上の休暇の例として、結婚休暇、自己啓発休暇(大学の講義を聴講するなど)がある。今回の特集でもいろいろな休暇制度を紹介した。ファイザーでは紹介した「フレックス休日」「ファミリーサポート休暇」に加え、資料でも12.4%とあった「リフレッシュ休暇」(ファイザーでは、年齢など一定条件を満たした人に、2週間/4週間の休暇と、援助金を付与)を用意している。六花亭製菓でも「誕生日休暇」「メモリアルデー休暇」が各1日ある。未来工業では会社の公休として、他社より年間約20日休日が多い。
どの会社もさまざまな休暇制度を導入することで、社員の健康促進やモチベーションにつながり、それが会社の利益になることを考えていた。
“有給&残業”攻略法
最後に5月の総務特集「“有給&残業”攻略法」のまとめとして、どうしたら残業を減らし、年次有給休暇などの休暇を取得できるのかを検証していきたい。
残業削減、休暇取得促進で、もっとも大切なことは何だろうか。筆者が取材したファイザーと未来工業からアドバイスをもらった。
「トップのコミットメントと社員1人1人の意識改革の両輪だと思う。トップがリーダーシップをとらなければ、管理職も帰らない、ひいては社員も帰れなくなる。トップのコミットメントと全管理職、全社員の実行しようという理解がなければ、ワークライフバランスは達成できないと思う」(ファイザー)
「“これからやろうとすること”には、プラスとマイナスがあります。マイナスをとれば何もできません。プラスをとれば先行者利益が得られる。例えば『生産が落ちる』『売り上げが落ちる』『客が怒る』というマイナスをとれば、社員の休みは増やせない。逆にプラスにとらえれば、休みを増やせば社員はうれしい、喜ぶ、頑張ろうと思ってくれる、つまり社員がやる気を出す。何か問題があればそのとき考え、解決すればいい」(未来工業)
両社のコメントに共通することは「会社の改革」だろう。とはいえ、単にトップダウンで強制するだけでは、なかなか残業削減、有給休暇の消化にはつながらない。個々人が業務効率を見直し、残業をしない方法、休暇を取る方法を少しでも見つけることも必要だ。まず労働者1人1人に意識を浸透させることが、「“有給&残業”攻略」の近道なのかもしれない。
正直言ってこの特集記事の取材はとても厳しかった。なかなか取材先が決まらず、ここ1週間に仕事が集中してしまった。「“有給&残業”攻略法」なんて偉そうに言ってるけど、残業しながらひたすら有給&残業攻略の記事を書いていたのだ……。む、むなしい(この記事はなんとか規定時間内に終わりそうである)。
編集長も筆者の気持ちを理解しているようだし、ここらでそろそろ休む計画を立てようかな。
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