つぶやいて、何が面白い――ブログが書けない40代男性が、いまTwitterを始めたわけ:最強フレームワーカーへの道
ブログすら書けない面倒くさがり屋の筆者が、ついにTwitterのアカウントを取得した。おそるおそるつぶやいてみて、ようやくTwitterが秘めている可能性の大きさに気付き始めた。
つぶやいて何が面白いのか――。面倒くさがり屋の筆者は、ブログが書けない。誠 Biz.IDの原稿などは定期的に書かなければ担当編集者に怒られる、という外部からのプレッシャーがあるから、なんとか続けられている。しかし毎日思いついたことをまとめる日記が書けない。だから、人目にさらされるブログを毎日更新できるわけもない。
Twitterも何が面白いのかさっぱり分からなかった。アスキー総研によれば、わたしが属する40代男性のつぶやき率は5.3%。かなり少数派である。
Twitter信奉者に「何が面白いのか教えてくれ」と頼んだが、何度聞いてもふに落ちない。Twitter本も何冊か読んだが分からない。そしたら会社の開発会議でK女史が言い放った。
やった人でないと、あの感覚は分からない!
おっしゃる通りである。だからだまされたと思って始めてみることにした。「 @nagatameister 」というアカウントを取得した。そして、誰も見ていないと分かっているのに、おそるおそるつぶやいてみた。
twitter 始めてみました!(1月7日19:32)
何をつぶやいてもいいらしいが、そうなるとますます困ってしまう。とりあえず、自己紹介、本の紹介、会社でやっているサービス、役立ちそうなWebサービス、ニューストピック、愛犬の画像アップロード、特にテーマを決めないで続けてみた。
自分でも気になる発言をしている人や業界の近い人をプロフィールなどから調べフォローした。そして、どこから見つけてきたのか分からないが、徐々にフォロワーも増えてきた。そして、ようやくTwitterが秘めている可能性の大きさに気付き始めた。
Twitterはなんというフルオープンサービスだ!!
Twitterは完全オープンで、その開放的なAPIを好き放題いじることができる。Twitter関連ツールをまとめた「かちびと.net」では、執筆時点でも165個のツールが紹介されている。画像をアップする「Twitpic」、つぶやきをブログ形式で表示する「Twilog」、特に見やすいカレンダー形式のつぶやき履歴「Mymeyou」、名刺を作ってくれる「ついったー名刺ジェネレータ」、など魅力的なサービスは、Twitterアカウント1つですべて利用できるユーザビリティの高さだ。
ちなみに、定期に自動的につぶやきを配信してくれるBot(つぶやきロボット)も、かんたんに作れてしまう。わたしも試しにフレームワークを30分おきにつぶやいてくれる「@gatabot」を「twitter ボットジェネレーター」で作成した。これは楽しい。
これまでのソーシャルサービスは、閉じたコミュニティだった。コミュニティ内のトラフィックをベースに広告収入を得るのが、一般的なビジネスモデルだった。コミュニティから外に出てしまうのは、事業者にとっては機会損失につながった。しかし、Twitterの思想は違うようである。Googleなど検索会社に情報を販売することで、早々に黒字化を達成したが、周辺でビジネスをやろうとする個人や事業者に対しての制限はとてつもなく緩く、寛容である。
つぶやきを源流に、求人情報や不動産情報をアグリゲートしたり、つぶやきの分析を行って商品やサービスを評価するサービスなど、アイデアしだいでいくらでも商売ができそうだ。利用者数を年代別に見ても、まだ普及率が10%を超えていないことを考えれば、ポテンシャルは大きいように思う。
知的生産性を高めるためのツールとして
また、Twitterをビジネス情報収集ツールとしてみても、有用な点が多くある。フォローを増やせば、次のような目的で有効に使えるのだ。
- 特定キーワードや領域の知識の取得
- 尊敬する人や気になる人の言動、ライフスタイルを知る
- アイデアのトリガー
また、フォロワーを増やせば、次のような目的で有効に使えるだろう。
- 商品やサービス、イベントなどの告知・PR
- 質問(FAQサイトで質問するよりも、手っ取りはやく回答が得られることが多い)
- 報道(メディアの締め切りに関係なく、リアルタイムにリポートできる)
フォロワーを増やすのも、それほど敷居は高くない。実際、半年足らずで無名な素人がフォロワが1000人超えになっている例もある。日本国内のトップフォロワーを持つ「もーりす」さんも大学4年生の無名人だ。もちろん、有名人はケタが違う。アシュトン・カッチャーなど米国の有名人は400〜500万人のフォロワーがいる(日本の10倍)。こうした「つながる力」が増えてくると、メディアを中抜きしたダイレクトな発言力が備わってくる。
リアルタイムでダイレクト。技術はオープンで、誰もが自分で使いやすいサービスに仕立て直しができる。気付いたら、ブログすらやらなかった自分が、誰に強制されることもなく、毎日絶やさず、つぶやいている。つぶやく字数制限が気になり、「ブログのほうがいいのかな」とふと思う。あれっ? ブログすらやらなかったわたしがなんということを……。
@nagatameister でつぶやいてます。 ♯followme
著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
Twitterアカウント:@nagatameister
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