デジタル時代のメモ、ツールを「一元化」すべきか:あなたの不安、見積もります
情報は極力「Evernote」に一元化するように意識しているわたしですが、だからと言ってあらゆる情報を全部Evernoteに入れているわけではありません。無理にツールを一元化するより、むしろ「デジタルに一元化」していると捉えれば、精神的にも楽ですよ。
ビジネスパーソンの気になる疑問
EvernoteやGoogle Docsなどのデジタルツールを活用していますが、そうしたツールで作ったメモが散らばりがちです。利用するデジタルツールを一元化するべきでしょうか
情報は極力「Evernote」に一元化するように意識しているわたしですが、だからと言ってあらゆる情報を全部Evernoteに入れているわけではありません。そもそも、この連載記事は「Google Wave」を利用して書いていますし。
メールなどから情報が入ってくることも多くなるので、あるツールに一元化するというのは現実的ではないと思います。むしろ「デジタルに一元化」しているととらえれば、精神的にも楽ですし、実際「一元化」が簡単に実現できます。
例えばわたしは、日常のメモのほとんどをiPhoneの「HayaMemo」(iTunesが開きます)というアプリから入力しています。iPhone独特のフリック操作に慣れてくれば、手で丁寧に書くのと、速度的な違いはなくなります。
HayaMemoからほとんどのメモはEvernoteにメールで送信するのですが、そうするならなぜ、EvernoteのiPhoneアプリを使わないのかと思われるでしょう。
第1の理由はHayaMemoの動作が早いからですが、もう1つの理由として、メモをEvernoteに送るとは限らないからです。自分宛にメールすることもあれば、ToDo管理ツール「Toodledo」宛てにメールすることもあります。
すべてのメモが単なるメモとは限らず、メール送信したい内容だったり、タスクだったりします。そのことをメモする瞬間に判断したくないため、とりあえずメモをしてから「送り先」を選ぶのです。わたしにとって、この思考の流れは自然なものなのです。
第2の理由はこのような努力をすることで、ほぼすべてのメモがHayaMemoに集中してくるからです。わたしはMacを利用しているときにはデスクトップ検索の「Spotlight」を使い、iPhoneを利用しているときにはHayaMemoのカレンダビューを見ることが多くなりました。少なくとも「自分のメモ」はこのどちらかにあるからです。
『「超」整理法』の野口悠紀雄さんが、「人間の記憶は『いつ』ということに関して非常によく覚えている」と述べていました。HayaMemoのカレンダービューを見ると、本当にその通りです。
そして、「とにかくメモはデジタルになっている」という状況さえ作っておけば、入力元はHayaMemoだろうと、Evernoteだろうと、Gmailだろうと、コンピュータの中を検索すれば見つかります。「デジタルに一元化」というおおざっぱな枠組みは、入力時の意識はいい加減でも、実際に機能するので現実的ですよ。
筆者:佐々木正悟
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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