電子書籍をフリマで対面販売する「電書部」が目指すものとは(前編):電書部の真実(3/3 ページ)
電子書籍を「電書」と呼び、フリマを通じた対面方式で販売を行っているユニークな団体が、米光一成氏率いる「電子書籍部」だ。5月の同人イベント「文学フリマ」ではわずか1日で1453冊もの電子書籍を売り上げたこの団体について、米光氏に話を聞いた。
PDFとかEPUBって、読者である場合は知らなくてもいい
誠 Biz.ID 技術的なお話についてですが、メールで送られてきたURLの中から、PDFやEPUBを各自で選んでダウンロードするという形式に行き着くまでいろいろと試行錯誤もあったと思うのですが、いかがですか。「買ったけど読めない」という不安を払拭するために最大限配慮してるように思えたのですが。
米光氏 買うスタイルが変わっちゃうので、そこは戸惑わせないように試行錯誤しました。新しいことなので分かりやすくしないといけない。ちょっとでも分かりにくいことがあると不安なんですよ。電書に興味がない人も来てほしいと思ってたんですね。「紙の本ならいいのにー」ぐらいな、内容がおもしろそうだから買いにくる人にも来てほしい。そうするとなるべくシンプルにしないといけない。PCで接続してデータを移動させるって手もあるけど、人の機械に何かを抜き差しするのって、やるほうもやられるほうも案外不安なんです。実際にやってみたんですけど、どうも感覚としてやりにくい。
誠 Biz.ID ケーブル直接続という販売スタイルも試したと聞いたのですが。
米光氏 そうです。実験的にやってみたんです。そうすると、例えばKindleだと、相手のそれまでに買った本のタイトルがこちらのPCから見えちゃう可能性もあるとか。抜き差しするときに案外怖いとか。壊しそうな感じもしちゃうんですよ。
誠 Biz.ID 確かに、そういったことはやってみなくちゃ分からないですよね。
米光氏 販売サイトも、買うシーンをテストでやってみたら代金をもらいづらいんですよ。送り先を聞いて本を選んで「送信」って押すと送られちゃう。代金をもらうタイミングがなくて、送った後におずおず「400円です」とか言いにくい。それは販売サイトで合計金額が最後にしか表示されなかったからなんです。なので本を選んだ瞬間、「送信」を押す前に合計金額を表示してくれと。それでようやく送る前に「400円です」って言えるようになった。
米光氏 PDFとかEPUBって、電書をやってれば知ってるけど、読者である場合は知らなくてもいいことなんですよね。というか知らない人はたくさんいる。だからそこもなるべく気にしなくてもいいように、シンプルに、シンプルにって。PCとiPadとiPhoneとkindleで読めますと。で、それぞれの持ってるモノで、それならこれで読んでくださいって決めウチにしてるんです。PDFって何? って分かんなくても読めるように。技術系の人は「いやこのデバイスならこの形式でも読めるし、これもいける。それをちゃんと全部書いておくべきだ」って言う人もいるんですけど、そうすると知らない人は混乱しちゃう。で、自分がもってるモノの名さえ分かれば、iPhone持ってるとか、PCなら持ってるって分かれば、迷うことないようにしよう、と。
後編に続く
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