スマートデバイス活用――E Inkなのにパラパラめくれるリコーの「eWriter」を見てきた:脱ガンジガラメの働き方
スマートデバイスが注目を集めているが、iPhone/iPadのようなPCばりの高性能なデバイスだけでなく、Kindleに代表される単機能な電子書籍端末のようなデバイスもビジネス分野で活躍しそうだ。
脱ガンジガラメの働き方の最初の一歩は脱PCから、というわけでスマートデバイスが注目を集めている。iPadやiPhoneをはじめ、Androidの各種端末などのようなPCばりの高性能なデバイスだけでなく、Kindleに代表される単機能な電子書籍端末のようなデバイスもビジネス分野で活躍しそうだ。というのも、単機能なデバイスは操作も簡単で分かりやすい。特に道具として一般化するのであれば説明不要で操作できるぐらいでないと普及は見込めないだろう。
筆者が見てきたのは、リコーの「eWriter」というソリューション。書類を読むこと、書くことに特化したビジネス向けのタブレット端末「eQuill」(イー・クイル)とバックエンドのシステムを連携させることで、紙の書類で行われてきた手続きを電子化するというものだ。
ポイントはシンプルなタブレット端末のeQuill。見てきた端末は開発中のものだが、モノクロ9.7インチの画面を搭載し、重さは500グラム以下。E Inkの電子ペーパーを搭載しており、手書きによる書き込みが可能だ。バッテリを搭載し、連続使用で20時間駆動する。
E Inkの電子ペーパーというと従来、ページをめくるごとに画面全体を書き換えたり、早送り機能が付いている端末であっても1ページずつをめくるようには見られなかったりと用感にくせがあった。だがeQuillでは、ぱらぱらとめくるページ送りが特徴だ。100ページはあろうかという説明書などを電子書籍で読む場合、見出しなどで目的のところにピンポイントでジャンプするのが一般的だが、ジャンプした先が実は目的の場所と異なった場合、その周辺を探すのが1ページ1ページ、ページ送りを繰り返して探し出すことになる。一方、紙の書籍の場合は、パラパラとあたりを付けた場所の周辺も読める。今回のeQuillもそんな紙の書籍ライクな読み方ができそうだ。
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1ページごとのページ送りでは画面全体を書き換えるのはそのままだし、本物の紙をめくるほどはっきりした感じではないが、これまでのE Ink搭載端末からするとかなりの滑らかさでページがめくれる。「こうした描画ができるのは現在はeQuillだけ」(リコー)。
またこの描画性能によって、タッチペンでの書き込みも瞬時に滑らかに書けるようになったという。なお、eQuillは一般的なペンタブレットと同じく電磁誘導式を採用。抵抗膜式(感圧式、一部の券売機やキオスク端末など)や静電容量式(iPhoneなどのスマートフォン)、赤外線式/超音波式(一部デジタルペンなど)に比較して、電磁誘導式はノイズに強く、位置精度が高い。筆跡をデジタル化する精度も高いというわけだ。
eQuillに書き込んだ情報は、Wi-Fiか3G回線経由でPCに転送できる。いずれは日本語のOCR(光学式文字読取装置)にも対応し、日本語のデジタイズも可能になる予定。ただ、数値などは読み込み間違いが起きやすい手書きより、事前に登録したフォームでソフトウェアキーボードによるテンキーなどを設置し、間違えが発生しないように入力させる仕組みだ。
多機能なデバイスに比較して、単機能なデバイスはどうしてもできることが限られてしまうが、用途を限定することでむしろセキュリティなどの心配をせずに済むし、機能が少ないことで利用者のトレーニングも減らせるはず。スマートデバイスの選択肢として、導入の可能性を検討したいところだ。
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