スマートフォン時代に“あえてアナログ回帰” 2012年手帳トレンド調査:手帳2012
スケジュール管理はスマートフォンよりも手帳派――デジタル化の流れに逆行し、あえて手帳を好む20〜50代の男女が年々増加傾向にあることが日本能率協会マネジメントセンターの調査で明らかとなった。
スマートフォン人気の後押しもあり、ビジネスパーソンのスケジュール管理の方法は手帳をはじめとするアナログツールに加え、デジタルツールも活用するという選択が増えた。一方で、2011年の国内手帳生産・出荷数(年間)は、市販と法人市場を含めて約1億冊と推定(※)されるなど、アナログツールには多くの固定ファンが存在する。中には手帳とスマートフォンの両方でスケジュール管理をしているというユーザーもいることだろう。
(※)各メーカーの販売実績などから日本能率協会マネジメントセンターが推定。比率は法人市場が約60%、市販市場が約40%
能率手帳などを提供する日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)は9月27日、2012年版の「手帳市場トレンド」や「スケジュール市場トレンド」を発表した。JMAMによると、スケジュール管理のためにメインで使用するのは手帳(33.9%)がトップで、2位以下のカレンダー(19.3%)や携帯電話(17.9%)を引き離す結果となった。興味深い傾向として、スケジュール管理に利用するツールをアナログ派(手帳、システム手帳、カレンダー、ノート)とデジタル派(PC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、PDA)に分けて聞いたところ、2010〜2012年の3年でアナログ派の割合が微増し、デジタル派の割合を上回った。
この傾向についてJMAMは「スマートフォンの購入を機にスケジュール管理をデジタルに一元化したものの、一貫性や入力面で不都合を感じて再びアナログ派に回避しているのでは」と分析している。
手帳に求めるもの:男性は「実用性」、女性は「情緒的価値」を重視
手帳市場トレンドは、JMAMが全国20〜50代の男女856人(職業問わず年代別10歳刻み107人ずつ)を対象に調査したもの。実施方法はインターネットを用いた。スケジュール市場は、手帳市場の調査結果と、JMAMの手帳販売実勢や主要手帳メーカーの動向、店舗ヒアリング、ユーザーインタビューを基にJMAMが分析した。
手帳市場の調査では、男女別に手帳の「用途」や「活用法(効用)」に違いが見られた。顕著な結果として、男性は手帳を「業務・行動記録」(65.8%)や「アイデアや思想・感情の整理」(27.6%)に使用するのに対し、女性は「自分以外の家族や上司のスケジュール管理」(45.2%)、「友人や家族の誕生日・記念日の記録」(43.0%)に使用している点が性別で大きな違いとなった。なお、男女共に手帳の用途としてトップに挙げたのはToDoリストの管理(全体56.4%、男性60.5%、女性53.0%)だった。
「男性にとって手帳とは、仕事でパフォーマンスを上げるための道具。女性にとっては、日々の生活を豊かにしたり周囲の人との絆を深める存在として使用される傾向にある。手帳市場をけん引している女性の多くは、書き込みやレイアウトを自分なりのものに作り込んでいる。男性にも好みのものに手帳をカスタマイズするなどして、こだわりの使い方を見つけてほしい」(JMAM BTルート事業本部 総合企画部 主任 矢野真弓氏)
なお、JMAMは2012年度の製品ライアンアップとして、「能率手帳」「PAGEM(ペイジェム)」など主力製品を含む計215アイテムを予定している(2011年9月より順次発売)。法人向けとしては、能率手帳のほか、中国市場に向けた中国語版手帳、企業向けの手帳を教育機関向けにカスタマイズした学生手帳などを用意する。
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