同社は特にMIMOなどのアンテナ技術や、干渉制御技術による周波数利用効率の高さについて力説した。MIMOは802.11nなどの無線LAN技術でも注目されている、無線通信業界のトレンドの1つ。複数の送受信アンテナを用いることで高速かつ高品質な通信を可能にする。下りリンクにSDMA(Space Division Multiple Access:空間分割多元接続)を実装すれば、さらに周波数利用効率を上げることも可能だという。また、上りリンクの電力制御によって、電波の干渉を抑制している点もウリだ。セクタの中心部では電力を高く、周辺部では低く設定可能で、周囲のセルとの干渉に応じて調整する。さらに上りの制御チャンネルにはCDMAを適用し耐干渉性を高めている。
高速移動中の快適な動作に不可欠なハンドオーバーについては、約8ミリ秒という短い遅延時間で行える仕様だ。自動再送要求の間隔が5.5ミリ秒と短く、時速250キロで移動中でも問題なく通信できるという要件も十分満たせる。
そして、音声通話に重要なQoS(Quality of Service)制御は、EV-DO Rev.Aをベースにした信頼性の高い技術を実装することで実現している。これによって、データ通信と音声通話のパケットが多数混在する環境で、ユーザー数が増えた場合でも、FTPやHTTPなどのダウンロード速度は落ちるが、基本的に遅延が許されないVoIPのデータ転送速度はほぼ十分なレベルに保たれる。
日本国内においては、ワイヤレスブロードバンド向けとして、現在2.5GHz帯の2535〜2605MHzの周波数が用意されている。この帯域は将来第3世代移動通信システム(IMT-2000)向けに提供される予定であるものの、稼働中の衛星システムが利用している帯域も近くに存在する。このため、慎重な共存条件の検討が必要だが、米QualcommのQTDD/QFDDをベースにした802.20の技術なら対応可能であるとし、候補として名乗りを上げた。
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