「今年の目玉はマルチキャスト」〜進化するEV-DO(2/2 ページ)

» 2004年02月13日 23時36分 公開
[斎藤健二,ITmedia]
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EV-DO Rev.Aは、「フィジカルレイヤー」「QoS」「マルチキャスト」

 先述のマルチキャストを含め、EV-DO Enhancementsと呼ばれる進化型EV-DOは、標準化の一歩手前まで来ている。「3GPP2に提案が終わり議論も済んでいる。今月から来月にかけて、Rev.A(Release.A)の標準化が固まる」(前田氏)

 これまでのEV-DO Rev.0に対し、Rev.Aのポイントは、フィジカルレイヤー(物理層)の変更とQoS、マルチキャストの導入だ。

 フィジカルレイヤーの変更により、現在153K/2.4Mbps(上り/下り)の通信速度を、1.8M/3.2Mbpsまで高速化する。上り方向では「(変調方式に)従来のBPSKに加えてQPSKと8PSKを追加」し、電波状態がよい場合の最大転送速度を上げた。また、拡散コード体系やスロットサイズも見直しをかけている。

リアルタイム性のあるアプリケーション利用に向けて〜QoS

 “QoS”は、インターネット型のパケット通信に最適化してきたEV-DOにとって、少々揺り戻しのあった部分だ。W-CDMAなどと違い、遅延や揺らぎをある程度許容することでインターネット型パケットに最適化したEV-DO。だが「(EV-DOで)音声に限らず、リアルタイム系のアプリもどんどんやりたい」というニーズから、QoSを盛り込む。

 QoS実現には「アプリケーションによって、タイムスロット割り当ての優先度を変える」(前田氏)という手法を取る。基本的には、

  • 遅延の影響を受ける──VoIPなど
  • 揺れ(ジッタ)に影響を受ける──ストリーミングなど
  • 遅延に関係ない──Web閲覧やEメールなど

の3種類にアプリケーションを分類し、基地局の「スケジューラ」が送信順序を調整する。

 通常のEV-DOであれば、電波状態が良く高スループットが期待できるユーザーに優先的にスロットを割り当て基地局単位のスループットを上げ、かつ電波状態の悪いユーザーにも適宜割り当てを行うことで不公平感を減らしていた(2001年7月の記事参照)。QoSが入ったEV-DOでは、例えば、電波状態がいい人がEメールを使っており、悪い人がVoIPを使っていた場合でも、VoIPのほうを優先して割り当てる。

 「スケジューラのインテリジェンスを高めて、スケジューラでQoSをやろう」(前田氏)という発想だ。

通常のEV-DOでは、ユーザーごとにタイムスロットの割り当て量と順序を調整する。QoSが入ると、各ユーザーのパケットをアプリケーションに応じて3種類に分け、各ユーザーの電波状態×パケット種類で、スケジューリングする。EV-DOのスケジューラは、もともと優先度の重み付けを柔軟にできるようになっており、QoSも元からある機能をうまく活用した形だ。さらに、優先度に従って課金体系を変えることも可能な仕組みであるため、“VoIPは最優先だが課金を高く”といったシステムも構築できる

 合わせて、スロットサイズも調整することで、転送速度と遅延のバランスを取っている。

 QoSの導入によって、VoIPやストリーミング再生といったアプリケーションをEV-DO上で使える可能性が広がったことになる。

「レシーバダイバーシティ」はWIN端末に導入済み

 EV-DO Enhancementsの中で、既に導入済みの技術もある。「レシーバダイバーシティ」がそれだ。2つのアンテナとRF回路を搭載し、両方で受信した電波を合成することでゲインを上げる技術。

 「KDDIの(1X WIN)仕様に入っており、WIN端末には既に導入されている」と前田氏。

 PDCやPHSではダイバーシティ技術は当然のように使われているが、CDMA方式では非常に珍しい。クアルコム側も今後積極的にサポートしていく予定で、現在のWIN端末が使っているベースバンドチップ「MSM5500」の後継チップ「MSM6500」では(2003年10月の記事参照)、「レシーバダイバシティがやりやすいように対応している」(前田氏)。

CDMA2000 2xは“ニーズ待ち”

 CDMA2000 1xのチャンネルを2本束ねて2倍の速度を実現する、CDMA2000 2xも準備はされている。クアルコムもデモ機を作ってテストを行った。

 しかし「まだ本当のニーズが見えない」と前田氏。現在のデモ機は、1xのチップを2個使っている。いってみれば1x端末2つを1つにまとめたようなものだ。需要が出てくれば1チップ化も行うというが、まずは待ちの状態だ。

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