孫正義氏が掲げる「300年ビジョン」の意味世界トップリーダー1000人が実践する時間術(2/5 ページ)

» 2015年08月10日 06時00分 公開
[谷本有香ITmedia]

利他的なビジョンこそが人の心を動かす

 「時間術」というと、つい「24時間をどう使うのか」というミクロな視点で考えてしまいますが、トップリーダーは1年、10 年という長いスパンの時間に対しても非常に意識的です。「年」という大きな単位の「期間」と呼ばれる時間でさえ、結局は目の前の一瞬一瞬の積み重ねなのだということを再認識してください。

 こういった時間感覚を持っているからこそ、彼らは短期的な視野で物事を見て「今さえよければいい」という自暴自棄な行動をすることはありません。また、先々のぼんやりとした「不安」を回避するために、過剰に守りに入って今をおろそかにしたりもしません。

 となれば、トップリーダーと同じように時間を有効に使うために必要なのは、将来の大きな目標、「ビジョンを持つ」ということになるでしょう。そして、彼らと同じような時間の使い方をすることができれば、その大きな夢は必ずかなえることができます。

 トップリーダーの成功を見てください。「鶏が先か、卵が先か」という話ではありますが、彼らの人生こそが、最終的にこの時間術がもたらす結果です。

 とはいえ、急に「30年先のビジョン」といわれても、「そんなに先のことは分からない」と感じる方がほとんどでしょう。

(画像はイメージです)

 確かにそうです。今は時代そのものの移り変わりのスピードが速く、ビジネスでも状況は同じです。今後、テクノロジーの発展にともなって、時代の変化のスピードはさらに加速していくことでしょう。このような時代にあって、「30年先の具体的なビジョンを持つ」ということは、非常に難しく感じられます。

 しかし、それでも名の知られたトップリーダーは、30年先、50年先のビジョンを恐れずに掲げます。

 例えば日本電産の創業者である永守重信氏は、「私は常に『世界一』という目標を掲げている。100年先も繁栄していくために、強い会社を作っていく」と、100年先を見据えた力強いビジョンを語っています。彼らは、「ビジョン力」とでもいうべき、先を見通す能力が非常に優れているのです。

 また、未来へのビジョンが自分自身のモチベーションを上げるのはもちろんのこと、例えば「より良い未来を創るために働く」というような利他的な目標のほうが、人の心を強く動かすことを知っています。

 もっとも、ある程度の能力を備えた人であれば、お金を稼いだり、人から成功を認められたりすることは、人生の比較的早い段階で達成してしまいます。

 「もっとお金を稼ぎたい」「人からうらやまれるような成功を収めたい」という利己的な目標は、本物のトップリーダーが人生を通して追う夢としては、少々スケールが小さすぎるのかもしれません。

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