3Dプリンターで回路基板を製作、NY発のベンチャーが狙う日本市場日米のビジネス事情の違いを知る(4/9 ページ)

» 2015年08月11日 08時20分 公開
[公文紫都ITmedia]

関: 米国に来た時は、近いうちにスタートアップを始めることになるなんて、予想をしていなかったのでは?

ニコラス: そうですね、何かを始めるかもなんて思っていませんでした。もともと米国には、1年のつもりで来ましたし。

関: そこから起業に至るまでのストーリーを教えていただけますか?

ニコラス: NYUの技術工科大学院は「イノベンション(Inno/Vention)」というビジネスコンペティションを主催しています。私は「電子部品向けの3Dプリンター」というアイディアで、このコンペティションへの参加を決めました。2013年2月のことです。コンペティションは、まずビジネスプランのプレゼンテーションをするところから始まります。ここでは主に、夢やビジョンを語るのですが、そこで気に入ってもらえると「これで実際に作ってみなさい」と500ドルを渡されます。

 そしてその資金を元手にプロトタイプを作り、またプレゼンテーションを行い、再び気に入ってもらえるとさらに500ドルをもらえるので、どんどん製品を改良していけます。その後いろいろな試作品を作り、最終的に今の、「インクを吹き出し、回路を作り、そこに部品を載せる」Squinkの形にたどり着き、「電子回路をデスクトップで作る」というコンセプトを提示できました。

関: 周りはどんな反応でした?

ニコラス: 多くの人たちは「そんなものはできないだろう」と言いましたが、私たちの製品の良さを信じる人たちがいてくれたお陰で、ここまで来られました。特に電子分野で働いている人たちが、このマシンの有用性を認識してくれました。コンペティションの後は、2カ月間NYUのアクセラレータープログラムに参加しながら、ユーザーインターフェイス(UI)の強化に努めてきました。もちろん、UIの強化は今でも続けています。

関: そして、2014年夏にキックスターターに出品されたと。

ニコラス: その通りです。2013年2月から9月までは創業者の3人だけでしたけれども、アクセラレータープログラムへの参加後に、2人の社員を採用しました。現在の従業員は、5.5人という感じです。3人目の創業者は、大学教授と掛け持ちしながら働いているので。

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