どう扱うか? 退職者が集めた「名刺」仕事上の名刺は誰のもの?(1/5 ページ)

» 2015年10月15日 10時00分 公開
[企業実務]

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本記事は企業実務のコンテンツから一部抜粋・編集して掲載しています。


 一般に、社員が退職する際、会社は口頭や文書で「会社に返却するもの」などを伝え、退職者には、それに則して対応することが多いでしょう。その一覧のなかに、「仕事上、受け取った名刺」が入っているものです。

 ところが、こうした名刺の所有権や帰属については幾つかの見解があり、退職者と会社の間などでトラブルも起こっています。

仕事上の名刺は誰のものか

退職者が「会社に返却するもの・会社から渡されるもの」

 通常、社員が仕事上で受け取った名刺は、社員個人が管理していても“会社のもの(情報資産)”と考えられています。そのため、退職する社員の名刺は、全て会社に返却するのが原則です。

 一方、退職する社員にとって、名刺は額に汗して働いて集めた仕事の証であり、大切な人脈です。その人脈は、退職後のビジネスに生かせる可能性も高く、できれば処分せずに持ち帰りたいと思う人もいるでしょう。あるいは、退職後に落ち着いたら、お世話になった人へあいさつ状を書きたいので、名刺のコピーやデータがほしいという人も少なくありません。

 そのため、「集めた名刺を持ち帰ってよいのか、会社に返却すべきなのか」で意見が分かれたり、もめたりすることがあるのです。

 会社としては、一面識もない人物の名刺の束を置いていかれても、邪魔になるだけという場合もあるでしょう。名刺の返却を受けることで必要以上の情報を入手することになり、個人情報保護の観点から考えても、扱いに悩むケースは少なくないようです。

 法的な面から捉えると、名刺の帰属については、会社の財産ではなく、個人の財産と認めたケースもあるようです。ところが、退職者が名刺を持ち帰って転職後のビジネスで活用するようなことがあれば、前職の会社が損害や迷惑を被ることにもなりかねません。 「名刺は誰のものか」という問題は個別の事情で異なり、一概にはいえない面もありますが、名刺をめぐって、ときには争いになるケースもありますので、やはり管理上のルールは必要です。

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