本田圭祐が出場できない裏に、イタリア特有の“事情”赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2015年11月05日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

イタリアサッカー界に向けて警鐘

 さらに強烈だったのは自らの出場機会が激減している現状を理解できていない点に加え、ミランを含めてイタリアサッカー界に向けて過激な言葉で警鐘を鳴らしたことだった。

 「何で出れなくなったか分からない。こういう試合をやっていて出れるチャンスがないのがおかしい。イタリアのメディアの大問題だと思うんですけれど、誰がいい、誰が悪いというのをこういう試合で話すのがナンセンスですよね。ある程度、誰がやってもダメというのは、この3年ぐらいで分かったと思う。そこを今日しっかり学ばないと(いけない)。

 (英プレミアリーグのマンチェスター・)シティや(仏リーグ・アンの)パリ・サンジェルマンぐらいお金を使うか、もう少しストラクチャー(構造)の部分で見直していかないといけない。でも、選手が気づいていてもこのチームは変わらない。トップの人間が気づく、経営陣が気づく、監督が気づく。そして、選手たちが気づく。同時にファンたちも気づいていかないと。僕はファンの拍手のタイミングを見ていても、勝つことだけに左右されているファンだなと気づく。内容など見ない。勝てば拍手する」

 この本田の発言はイタリアサッカー界に大きな衝撃を与えた。ミランで1960年代に2度のスクデット(リーグ優勝)を獲得し、MFとして活躍したOBジョヴァンニ・ロディッティ氏に「彼は自分の立ち位置を勘違いしている」とバッサリ切り捨てられるなどセリエA古参の一部有識者たちからは猛烈な批判を浴びた。

 しかし、その一方で多くのイタリアメディアは当初、本田の発言を「異常」としながらも一定の評価を与えて「正論」とする向きが多かった。ちなみに地元有力紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』は「本田の言葉はあまりにも核心を突いている」とし「クラブの構造を再検討するしかない。幹部、監督、サポーターは状況に気付かなければならない」と続けて報じてもいた。

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