テレビは苦戦しているのに、なぜWOWOWは過去最高なのか水曜インタビュー劇場(有料テレビ公演)(4/6 ページ)

» 2015年12月09日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

“分かりやすいのに分かりにくい”ビジネス

石垣: テレビ局からすれば、WOWOWはライバル。自分たちの視聴率を奪われる存在なので、さまざまな制約がありました。例えば「会社のブランド広告はいいけれど、個別の番組宣伝はダメよ」といった感じで。

土肥: あっ、なるほど。

石垣: テレビCMを放送するのが難しかったので、「じゃあ、新聞で」といった流れがありました。現在、番組宣伝は可能になりましたが、局ごとに考査があるんですよ。例えば、「この日はいいけれど、この日は放送できません」とか「映画の番宣を放送するので、この日はダメ」とか「放送時間は表記しないで」とか「Webの検索窓を必ず入れてください」とか「番組放送日の日付が大きいので、もう少し小さくしてください」とか。

土肥: め、面倒……いや、失礼。

石垣: 「なぜいまごろ? もっと早く分析していれば」というご質問ですが、WOWOWのビジネスって“分かりやすいのに分かりにくい”んですよ。

土肥: わ、分かりにくいので、分かりやすくご説明ください。

石垣: 先ほども申し上げましたが、このビジネスを大雑把に言うと、お客さんが「加入」するか「解約」するかだけ。これだけだと分かりやすいのですが、毎日放送している内容が違いますよね。サザンオールスターズの生ライブを放送する日もあれば、サッカーの欧州選手権を放送する日もあれば、『MOZU』を放送する日もある。サザンオールスターズのファンが加入していただけるときもあれば、サッカーファンが加入していただけるときもあれば、『MOZU』のファンが加入していただけるときもある。また日別だけでなく、月別の数字があるので、そのデータに対してどのように分析すればいいのかが難しいんですよ。

 以前は「サザンのライブを放送したら、加入件数が伸びた。次のライブのときも宣伝したほうがいいね」といった雰囲気があったので、マーケティングをしようとかデータを分析しようといった話になかなか進まなかったのかもしれません。

 あと、開局当初は赤字が続いていましたが、加入件数は右肩上がりで伸びていました。そんな環境だったので「加入件数を増やさなければいけない」という意識が弱かったのかもしれません。

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