本多忠勝の「蜻蛉切」は意外と……「真田丸」を100倍楽しむ小話(1/2 ページ)

» 2016年03月12日 08時00分 公開
[ITmedia]

「真田丸」を100倍楽しむ小話

この連載では、歴ドル&信州上田観光大使を務める小日向えりさんとともに、NHKの大河ドラマ「真田丸」に登場する人物、あるいは名シーンなどを取り上げて、よりドラマを楽しめるような情報や小ネタをお伝えしていきます。


編集部F: そういえば小日向さんって、いろいろと検定を保有してますよね。中でも気になるのは「三国志検定1級」なのですが、これはどんな内容の試験なのですか?

小日向: 3級、2級は4択問題で、1級は論文なんです。公式サイトには、「三国志」「三国志演義」を問わず、三国志にかかわるすべての範疇(はんちゅう)より出題。三国志に関する歴史・文学・思想について学術的知識を有する“三国志研究者”レベルとありました。そこで私は研究者の先生方の学術本を何冊か読んで挑みました。

 試験は、5つの設問から2つ選んで、1時間以内に600字〜800字の論文を2本完成させます。例えば、私のときはこんな問題が出ました。

 「関羽信仰の成立と展開について、次の用語を使って論ぜよ」

 山西商人 蚩尤(しゆう)神 壮繆侯 華容道

 文章で短くまとめるのが難しく、時間との戦いでしたね。もう殴り書きです(笑)。90点という思った以上の高得点を取れてビックリしました。

編集部F: それにしても、ここ数年前から「検定ラッシュ」と言わんばかりに次々と新しい検定が登場していますよね。自治体が主催するようなしっかりとしたものもあれば、「これは何……?」と思うようなユニークなものまで。

 いろいろと調べてみたら、今年5月には何と「大河ドラマ検定」の第1回が開催されるようです。大河ドラマは1963年にスタートしているので、過去の作品までさかのぼって勉強するのは大変だと思いますが、大河ドラマ好きにはたまらない検定でしょうね。小日向さんが好きな大河ドラマは何ですか? 「真田丸」以外で(笑)。

ロボットキャラになった本多忠勝 ロボットキャラになった本多忠勝

小日向: 最近だと「平清盛」(2012年)が面白かったです。もう少し前だと、三谷幸喜さんが手掛けられた「新選組!」(2004年)ですね。土方歳三役の山本耕史さんがだんだん歳三さんに見えてきて……。お顔も土方歳三の写真と似ていますよね。真田丸では石田三成を山本さんが演じられるというので楽しみです。「軍師官兵衛」(2014年)のときは三成が悪役に描かれていて胸が痛かったのですが、今回はキャストを聞いてホッと胸をなでおろしました。

編集部F: 私は小学生のときに初めて見た大河ドラマが「独眼竜政宗」(1987年)なのですが、翌年が「武田信玄」、翌々年が「春日局」と戦国時代が続いたので、それですっかり大河ドラマファンになってしまいました。ちなみに、春日局で織田信長を演じていたのが、「真田丸」で本多忠勝役の藤岡弘、さんです。忠勝は真田家ともゆかりが深い人物ですよね。

小日向: はい、忠勝の長女・小松姫が、真田信之(信幸)の正室として嫁いでいます。この小松姫と信之のエピソードはまたいずれお話しするとして、忠勝といえば、数珠がトレードマークで、何よりもその豪傑ぶりが有名です。生涯で57回の合戦に臨んだけれども、どの戦いでもかすり傷一つ負わなかったと伝えられています。このエピソードがあるから、テレビゲーム「戦国BASARA」でロボットのようなキャラが確立したのではないでしょうか。

 忠勝の武器は「蜻蛉切」(とんぼぎり)という槍で、切れ味が鋭く、槍の先に蜻蛉が止まってスッと切れたことからその名が付いたとされています。戦場では傷を負わなかったのに、晩年、蜻蛉切の手入れをしているとき、誤って自分の手を切ってしまい、血が流れるのを見て「自分はもうすぐ死ぬのだ」と悟ったそうです。きっと作り話だと思いますけどね……(笑)。

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