国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
またしても横綱・白鵬の行為が物議を醸している。大相撲春場所で前人未到の36度目となる優勝を果たしたものの、Vを決めた3月27日の千秋楽の横綱・日馬富士との結びで見せた立ち合いの変化に批判が集中しているからだ。
勝てば優勝が決まる。そんな緊張感が漂っていたはずの大一番は、わずか1秒1で決した。白鵬は立ち合いで右手を伸ばしながら左にスッと跳ぶと、完全に虚を突かれて体制を崩した日馬富士を左手で突き落とした。呆気ない幕切れにエディオンアリーナ大阪の場内は罵声とブーイングに包まれ、座布団も舞った。
4場所ぶりの優勝で自身の持つ史上最多記録も更新。しかしその晴れ舞台は多くの人に祝福されることはなく、後味の悪さだけが浮き彫りとなってしまった。
Vがかかった千秋楽の結びの大一番。まさにボルテージは最高潮に達していた。だからこそ、やはりここは胸と胸を突き合わせて横綱らしい相撲で勝負に臨んでほしかった。それは誰しもが感じていた本音だろう。それでも白鵬は立ち合いでの変化を選択。まるで周囲の期待に肩透かしを食らわせるかのように“安全策”をとった。何が何でも優勝したいという強い思いが、そうさせたのは間違いない。
ただし、そこには横綱としてのプライドが感じられなかったのも事実。その点については白鵬自身も表彰式での優勝インタビューで「千秋楽でああいう変化で決まるとは思わなかった。本当に申し訳ないと思います」と述べて謝罪している。一部の観衆から「帰れ」などと心ないヤジを浴びせられながら何度も「すみません」を繰り返すうちに目から涙があふれ出たシーンは、見ていてかなり痛々しかった。
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