前人未到のV36に“いちゃもん”……横綱・白鵬の苦悩赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)

» 2016年03月29日 10時41分 公開
[臼北信行ITmedia]
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ヒール化に拍車がかかるかもしれない

 28日に行われた横綱審議委員会でも問題視された白鵬の“ダメ押し”は確かに言語道断だ。特に8日目に関脇・嘉風を寄り切った後に土俵下へ投げ飛ばし、審判長・井筒親方(元関脇・逆鉾)の左脚を骨折させてしまったことは弁明の余地などない。

 ただし、この席上だけでワーワーと言うだけではなく横審の各委員たちは、それこそ白鵬を直接呼びつけて面と向かって古来伝統として代々受け継がれている日本大相撲の「横綱の品格」をもう一度きちんと親心を持って丁寧に教え込むべきである。距離を置くことは好ましいことではなく、そのままの状態が続けば問題は何も解決しない。いや、それどころかまた別の火種が発生することも十分に考えられる。かつての元朝青龍・ダグワドルジ氏のように白鵬も、このままではヒール化に拍車がかかる一方であろう。

 ちなみにモンゴルの全国ネットテレビ局「TV5」では先日、スポーツ番組で白鵬が春場所8日目にダメ押ししたことを取り上げ、出演した2人の有識者たちがこう論じ合っていたという。

 「白鵬が結果的に人を負傷させてしまったことは深く反省しなければいけない。しかし、彼の“ダメ押し”は最後の最後まで相手に妥協しないという強い気持ちの現れ。昔の日本人横綱たちも何人かの力士たちが“ダメ押し”を見せていたにも関わらず、当時はここまで問題にされることはなかったと聞く」

 「モンゴル人だから白鵬は日本人に嫌われているのでしょうか。彼が強いから、日本人はジェラシーを覚える。そうだとしたら、本当に悲しいことです」

 白鵬をただコキ下ろすことは簡単だ。だが、その前に批判する側の人たちは「なぜ平成の大横綱が、そういう立場になってしまったのか」という背景についても考えてみなければいけない。安易な考えは、日本とモンゴルとの間にすきま風を吹かせる要因にもつながってしまう。

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