なぜいま? 東京タワーの「3F」が絶好調な理由水曜インタビュー劇場(333m公演)(6/6 ページ)

» 2016年03月30日 08時08分 公開
[土肥義則ITmedia]
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リピーターを増やさなければいけない

土肥: 先ほど売れ筋商品の話をお聞きしましたが、逆に苦戦している商品を教えてください。

山崎: 売れ筋商品を小さくすれば売れるはず……と思って、新商品を出したのですが……なかなか売れなくて。

土肥: ん? 小さく?

山崎: 例えば、先ほど東京タワーをかたどったミネラルウオーターがよく売れている、という話をしましたが、そのミニチュア版をつくって販売しました。それが……(涙)。

土肥: いや、でも気持ちは分かります。「これが売れた! じゃあ、サイズをちっちゃくしても売れるはず!」と思ってしまいますよね。でも、売れなかった……。商売って甘くはないですね。

 最後に、今後はこんな商品にチカラを入れていきたい、といった話を聞かせてください。

山崎: これまで「直営店のショップには、季節を感じられる商品がない」と言われてきました。先ほども申し上げましたが、ロットの関係で長期間販売できない「期間限定」商品を扱うことが難しかったんです。ただ、少しずつですが、桜にちなんだ商品を販売するなど、季節感をアピールできるモノを増やしています。

土肥: 季節感のある商品が少なかった。その背景には、リピーターが少なかったからでは? ただ、リピーターが増えれば「期間限定」商品も売れそうですね。

山崎: おっしゃる通りです。多くの人が一度は東京タワーに足を運んでいただいていると思うのですが、リピーターは少ない。そこが課題だと認識していて、年間パスポートをつくったり、ランナーズサロン(シャワーやロッカーなどを利用することができる)をつくったりして、近隣の人たちが何度も足を運んでもらえるような試みをしています。

土肥: お話を聞いていて、まだまだ“この場”で何かできそうだなあと思いました。東京タワーには年間200万人以上の人が訪れて、そのほとんどの人がエレベーターを降りて、まずショップを目にする。面白い仕掛けができれば、「展望台には昇らないけれど、ショップで何か買っていくよ」という人が増えるかもしれない。本日はありがとうございました。

(終わり)

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