対メディアに関しても、高橋監督の心構えは徹底している。ミスをした選手を名指しで糾弾したり、あるいは対戦するチームや相手の監督についての批評をしたりすることは基本的にしない。自らのコメントでチーム内に動揺を走らせてしまってはよくないと言い聞かせているからだ。これについても、監督自身が昨季まで選手側に立っていたことで体感していたからこそ貫いている姿勢と言っていいだろう。
報道陣があの手この手でインパクトのある言葉を引き出そうと質問してもサラリとかわし、なかなか乗って来ようとはしない。これこそが「報道陣泣かせ」とメディアの間でささやかれるゆえんでもあるが、ある意味でとても肝がすわっているとも考えられる。
ここまで、おおむね選手やチーム関係者からの「指揮官・由伸評」は非常にいい。選手たちのやりやすい環境を整え、起用も相手の立場と気持ちを出来る限り尊重しようと務めていく“ソフト路線”を敷いているのだからチーム内からの批判など皆無に近いのは言わずもがなであろう。練習、そして試合中もノビノビと選手たちが時折笑顔を見せながらグラウンドで自由気ままに動き回れる雰囲気は昨季までと比較して確かに変った。
だが、本当にこのままでいいのかという疑問はある。それが「否」の部分だ。ソフト路線は勝っているうちならばいいにしても、負けが込んでくるとどうなるか分からない。指揮官自らが選手たちにカミナリを落としたり、戦術や采配の面で状況に応じてメスを入れなければならなかったりするときは長いシーズンの中で必ずやって来る。
そういう同様のケースで高橋監督が「ソフト」から「ハード」へとスイッチを切り替えられるか否かは重要なターニングポイントだ。もし、ここでも動かずに何もしなかったら、それこそ事態は悪化の一途をたどってしまう危険性は高いと言わざるを得ない。選手たちにナメられるようになったら、それこそ手が付けられなくなってしまう。
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