巨人は開幕ダッシュに成功したが、新人監督の手腕は「賛否両論」赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2016年04月13日 12時23分 公開
[臼北信行ITmedia]

由伸評は賛否両論

開幕から不動のオーダーを貫き続けている(出典:巨人のFacebookページ)

 さて、その「指揮官・由伸評」について取材現場で各方面から声を拾い上げてみると、今のところは賛否両論に分かれている。「賛」のほうから始めよう。まず高く評価されている部分は、起用される選手側の気持ちを非常に理解している点。それがよく現れているのは、ここまでの起用法だ。特に打順に関しては6番と先発投手の入る9番以外は開幕から不動のオーダーを貫き続けており、そこは徹底している。

 開幕当初こそ昨季の打撃不振がまるで蜃気楼のように打線全体がうまく機能して各々のバットから快音が鳴り響いていたが、その後は徐々にトーンダウン。10日の中日戦(ナゴヤドーム)でようやく25イニングぶりの適時打が飛び出す直前までは3番・坂本勇人を除くスタメン野手陣の誰もが3割を切り、明らかに打棒が湿っていた。

 こうなった場合、監督の立場としては少しでも流れを変えようと打線にメスを入れたくなるところ。ところが高橋監督は動かなかった。打てないからと言って、すぐに打順を入れ替えるのではなくジッと我慢して打線に火がつくときを待った。昨季まで現役としてグラウンドに立っていた高橋監督は、打順を固定しないことが選手の士気に実は大きく影響することを痛感していたからだ。

 前任の原辰徳氏はチームを率いていた昨季まで打線が不振に陥ると一部の打順を入れ替えることが多かった。このやり方は必ずしも批判されるべきものではないが、うまく機能しなかった場合のリスクはやはり小さくない。ひとつ間違えると打順を入れ替えられた選手がふて腐れ、不協和音を生み出す可能性もゼロではないからである。

 それでも通算12シーズンも指揮を執った海千山千の名将・原前監督のように心を鬼にして頑なになれればいいかもしれないが、新人指揮官にとってそれはどうしても難しい。そういう総合的な判断のもと、高橋監督は原前監督の“アンチテーゼ”として打順固定を実践しているようだ。

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