売上過去最高! 知られざる「島村楽器」のルーツ水曜インタビュー劇場(楽器公演)(2/7 ページ)

» 2016年06月15日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

創業当時のこと

土肥: 30年くらい前の話になるのですが、「ピアノが欲しいな」という人はどうしていたのか。1Fにピアノが数台置いてあって、2Fがピアノ教室といった感じのところで、ピアノを購入していました。「ギターを買いたいな」という人は、レコード店に足を運んでいました。あとは駅前の繁華街に、楽器の専門店があったので、そうした店で購入した人が多かったのではないでしょうか。

 しかし、いまはそれらの店が少なくなってきました。時は流れに流れて、気がついたらショッピングセンター内に「島村楽器」の看板が目立つようになりました。イオンモールに行ってもあって、ららぽーとに行ってもある。店舗数はどんどん増えていて、いまは全国に160店舗もある。なぜ、これほどまでに成長したのか――といった理由をお聞きする前に、ひとつ質問があります。島村楽器って何者なんですか? いや、失礼。創業当時はどういった展開をしていたのでしょうか?

伊地: オーナーの島村家は東京・江戸川区の平井の地主で、文房具店を営んでいました。教科書を売ったり、体操着を売ったりしていました。創業者の島村元紹(現在は会長)も家業を継いでいたのですが、ある日、日本楽器製造(現在のヤマハ)から「音楽教室を開きませんか」という提案をいただき、教室を始めることになりました。

土肥: そのときに楽器の販売を始められた?

伊地: いえ、まだですね。1962年に会社を創業して、音楽教室をスタートしました。ちなみに、現在の本社は以前文房具店がありまして、その地に音楽教室を開きました。いまは教室をやっていないのですが、この会議室(取材は本社の会議室で行われた)……扉が分厚いでしょ?

土肥: そーいえば。

伊地: 以前、ここで教室を開いていました。それを改装して、いまは会議室。話がややそれてしまいましたが、創業の地でピアノ教室を運営していたのですが、生徒さんから「家でピアノを練習したいのですが、どこで購入できるのですか?」といった声をたくさんいただきました。「生徒さんたちが困っている。なんとかしなければいけない」ということで、楽器販売を始めることにしました。

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