伊地: はっきりとした数字は残っていないのですが、1982年に当時のジャスコ葛西店(現在はイオン葛西店)に、出店することになりました。それまではいわゆる路面店が多かったのですが、徐々にショッピングセンターを中心に店舗を構えるようになりました。
土肥: つまり、店舗形態が変化していくことで、ローリング活動も縮小していったというわけですか?
伊地: はい。
土肥: 80年代前半から“脱路面店”が加速し、その一方でいまのような形……つまりショッピングセンターの中に店を構えていくようになるわけですよね。
伊地: ジャスコ葛西店の売場面積は60平方メートルほどしかありませんでした。そこにギターやドラムス、パーカッションなどを並べていたんですよね。少し離れたところに音楽教室とレコーディングスタジオがあって、そこの広さは162平方メートル。楽器を売りたいので、楽器のスペースを広くして、教室は狭く……ということもできたのですが、そうしませんでした。なぜか。当社は音楽教室からスタートしているので、経営理念として「モノの前にコトを売る」があるんですよね。というわけで、店内にはあまり楽器を置かずに、教室やスタジオなど、お客さまに音楽を楽しんでもらう空間を広くとりました。
そうした店舗を出店したところ、当時・ジャスコの岡田卓也社長(現在はイオンの名誉会長)に「この店は面白い」「これから伸びるぞ」と言っていただき、その後、ショッピングセンターがオープンするたびにお声をかけていただくようになりました。
土肥: なるほど。当時、どのような楽器が売れていたのでしょうか?
伊地: 80年代はピアノもよく売れていましたが、バンドブームもありましたので、エレキギターやドラムスもよく売れていました。1989年に『三宅裕司のいかすバンド天国』(TBS)が放送されたこともって、90年代前半バンドブームがピークを迎えたのではないでしょうか。エレキギターなどがよく売れました。
ただ、ブームが去ってからは厳しい時代に突入しまして。2009年に、アニメ『けいおん!』(TBS)が放送されたこともあって、ややバンドブームが盛り上がったものの、その後はまた厳しい状況が続きました。
土肥: ということは、違う楽器が売れている?
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