少子高齢化もなんのその 島村楽器の業績が好調なワケ水曜インタビュー劇場(楽器公演)(6/7 ページ)

» 2016年06月22日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

今後は教室や販売以外のことも

土肥: どれどれ(ページを開いて)、「経営に対する考え方」とか「仕事に対する取り組み姿勢」などが書かれていますね。

経営理念手帳は100項目で構成されている

伊地: アルバイトにも配っていて、毎朝、みんなで読み合わせをしています。ちなみに、現在店長をしている人のうち、4分の1はアルバイト経験者なんですよ。バンドをやっていてライブハウスなどで演奏するために働く……という人が多いのですが、働いているうちに仕事が面白くなって、正社員になって、店長になってというケースが多いですね。

土肥: ほー。アルバイトで働く人たちに、経営理念などが書かれた手帳を渡すって珍しいのではないでしょうか。あなたが働いている会社の経営理念を教えてください? と聞いて、答えることができるサラリーマンってどのくらいいるのでしょうか。ちなみに、ワタクシの場合……(自主規制)。会社で隣の席に座っているFくんは、社歴10年弱。今度、アイティメディアの経営理念って知ってる? と聞いてみますよ。

――後日、Fくんに聞いてみたところ、「えっ、そんなのあるんですか?」と答えていました。

土肥: いやはや、それにしても島村楽器って奥が深いですねえ。お客は楽器を買ったら絶対に困るはず。「うまく弾けないなあ」という問題が発生する。そうした問題に対して、フォローする。フォローするためには、スタッフの能力を高めなければいけない。その能力は楽器の知識といった話ではなくて、“人間力”でなければいけない。人間力を高めなければ、この商売はうまくいかないということですね。

伊地: はい。これまで音楽教室、楽器販売を中心に行ってきましたが、「音楽を教える」「楽器を売る」だけではよくないなあと感じています。音楽を楽しむ人を一人でも多くつくるためにはどうすればいいのか。音楽を長く楽しんでもらうためにはどうすればいいのか。そのために、私たちは何ができるのか。そのようなことを考えていたら、今後は教室や販売以外のことをやっていかなければいけないのかもしれません。

土肥: どういう意味でしょうか?

伊地: まだ具体的なことは決まっていないのですが、楽器の修理にチカラを入れていかなければいけないのかもしれません。いまも修理のブースがあって、技術者が常駐している店がいくつかあるのですが、まだまだ認知されていません。「この店には修理ができる人がいる」ということをきちんとアピールして、お客さまがそうした店で自分の楽器をきちんとメンテナンスできるようにしたいなあと。楽器は「歯」同じようなものですから。

土肥: は(歯)あ?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.