「プロフェッショナルな仕事」とは何か「売れる商品」の原動力(1/5 ページ)

» 2016年08月24日 05時30分 公開
[井尻雄久ITmedia]

集中連載:「売れる商品」の原動力

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この連載は、書籍『「売れる商品」の原動力―インナーブランディングの思想』(論創社)から一部抜粋、再編集したものです。

元電通社員として、数多くの新商品の開発・事業戦略の構築に関わった著者が、キーワード“誇りと愛着”を駆使して、ジェクトワン・ニビシ醤油・伊那食品など成功企業の秘密を解明。

企業や地域といった組織が、永続的な発展に向けて取り組むべきことを分かりやすく紹介します。


セブン‐イレブンのプロジェクト

 ここまで述べた7つの要素からなる「ブランドビジョンの構造」を踏まえて、以前の記事でも紹介したセブン‐イレブンのブランディングをもう一度振り返ってみましょう。

 セブン‐イレブンには、以前からプライベートブランドのセブンプレミアムで培ってきた、安全とお手ごろ価格の両立への取り組みがありました。それが、(1)の「潜在的能力」です。安い商品を作るために無名のメーカーにプライベートブランドを作らせてきた流通業界の常識を破って、セブン‐イレブンは一流メーカーと組んで独自の商品を開発するという経験を積み重ねていたのです。その積み重ねが、セブンゴールドのラインアップを可能にしたのです。

 セブンゴールドは、(2)のパーソナリティーも従来のようなコンビニのイメージから大きく脱却して、“専門店のような本格さ”を備えたものにならなければなりません。昨日と同じことはやらない。コンビニといえばこんなものだという固定化された発想を打ち破っていくことは、鈴木会長自らが随所で語られてきたことでした。

 さまざまな小売り業態がある中で、セブン‐イレブンというコンビニが“忙しいお母さん”たちに果たし得る(4)の「機能的価値」とは何でしょうか。それは、専門店よりも値ごろ感があり、専門店と同様の本格的な味を提供することになります。

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