「小さな大企業」を作り上げた町工場のスゴい人たち

なぜ学校のプールで「水泳帽子」をかぶるのか 知られざる下町企業のチカラ水曜インタビュー劇場(水泳帽子公演)(7/7 ページ)

» 2016年08月31日 06時00分 公開
[土肥義則ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5|6|7       

24時間、水泳帽子のことばかり考えている

土肥: 「新しい商品をどんどん出してきた」ということですが、これって言うのは簡単ですよね。ド素人の私でもひょっとしたら、2〜3種類はアイデアが浮かぶかもしれません。もちろん、売れるかどうかは別にして。50年近くも水泳帽子をつくってきて、「あー、もう新しいアイデアなんて浮かばないよ。これで終わり」と思ったこはないですか?

磯部: うーん、それはないですね。24時間、水泳帽子のことばかり考えているので、「こんな帽子はどうかな」「あんな帽子はどうだろう」といったことばかり想像しています。

土肥: これまでどのくらいの種類をつくられたのですか?

磯部: 累計は……ちょっと分からないですね。いわゆる特注を含めると、膨大な数になりまして。常時扱っているのは、30種類ほどです。

土肥: 要望を受け入れながら、改良に改良を重ねる。ものすごい「粘り」を感じることができすが、今後も改良に改良を重ねていく予定ですか?

磯部: もちろんです。「これで終わり」「これ以上のモノはできない」という気持ちになれば、本当に“終わり”ですから。これまでのように、改良に改良を重ねながら、これまでになかったモノをつくっていかなければいけません。

 水泳帽子を開発した当初は、小学生用につくりました。しかし、いまは違う。赤ちゃんもかぶりますし、大人、お年寄りもかぶります。また、泳ぐだけでなく、運動される人もいますし、歩く人もいます。プールという狭い空間の中ですが、使われ方は多様化してきました。時代の流れに取り残されないようにしなければいけません。

土肥: その昔、「欧米企業に比べて、日本企業は商品を開発するのが苦手」と言われてきました。しかし、「日本企業は消費者の声を聞いて、より使いやすく改良することが得意」とも言われてきました。考えてみると、フットマークはその両方を兼ね備えているような。だから水泳帽子の市場で“独泳”しているのかもしれません。

 次に、介護おむつカバーの話を聞かせていただけますでしょうか? 「介護」という言葉がなかったころに、おむつを必要とするお年寄り向けのおむつカバーを開発されました。そもそもどういったきっかけで、つくられたのでしょうか?

磯部: それはですね……。

つづく

連載が本になりました!:

 連載「仕事をしたら○○が見えてきた」が、『ササる戦略』(三才ブックス)というタイトルで書籍化されました。

 「なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか?」「50年以上前に発売された『スーパーカブ』が、いまも売れている理由」など、業界が注目する12社から“ヒットの法則”を紹介しています。

 ビジネス書が苦手……という人でも大丈夫。商品を開発した人はどのような苦労があったのか。その商品を売る人はどのような工夫をしたのか。マーケティングや消費者の行動などを分かりやすく解説していますので、オススメの1冊です!

 →『ササる戦略』(Kindle版


前のページへ 1|2|3|4|5|6|7       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.