宅配ピザを救う、あのアイテムの正体に迫る来週話題になるハナシ(3/4 ページ)

» 2016年11月30日 07時12分 公開
[藤井薫ITmedia]

ピザセーバーが浸透した理由

 デリバリーピザで使用されるダンボール製の箱は、コストの面から使い捨てされるチープな素材でできている。そのため、熱々のピザをデリバリーしようとすると、湯気で箱がしなってしまうため、どうしても天井が潰れるのを避けられなかった。

 そうなると、配達中に中央部分が沈んでしまい、ピザのチーズやトッピングがフタにくっついてしまうことが多かった。ピザを台なしにする原因になっていた。

 この致命的な問題を解決したのが、「ピザセーバー」だ。特許取得の際には、「パッケージ・セイバー」と名付けられていたこのアイテムは、ピザの中央部に置くことでデリバリーの箱のフタを支え、ピザがダメージを受けずに済む。そして申請から2年後に、このアイテムは特許が認められた。

 また、「ピザセーバー」がここまで浸透したのには、そのミニマリズムなデザインが一役買っている。「ピザセーバー」は三脚のような形状をしているのだが、そのデザインは、ヴィターレによってコンパクトで軽くて低コストになるように計算されている。

 さらに、このアイテムがプラスチック製なのは、焼きたてのピザの上に乗せても熱や蒸気に耐えられるように考慮されているからだ。特許書類には、華氏500度(摂氏260度)まで耐えられるようにすべきだと書かれている。

 ただヴィターレは、このアイデアを商品化して大量生産する資金は持ち合わせていなかったようで、1993年に特許は失効している。すると、その翌年からヴィターレのアイデアに類似するアイテムが誕生するなどして、現在に至っている。ただ今でも、ヴィターレは「ピザセーバー」の生みの親として、語り継がれている。

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