この「ピザセーバー」……ピザを守る姿がまさに「セーバー」という名にふさわしい。ピザが無残な状態で消費者に届けられることを防ぐためにフタを支えるだけでなく、デリバリーやテイクアウトピザのビジネスも支えてきたと言えるのである。
近年、デリバリーフード業界は、テクノロジーを使ったビジネス戦略に力を入れている。モバイルアプリを開発するなど、より簡単にオーダーができるようにして顧客を取り込んでいる。また絵文字や音声認識でピザのオーダーをできるようにしたり、GPSでデリバリーをトラックしたり、アルゴリズムを使用してデリバリータイムを表示するなど、さまざまな技術を導入している。
そんなデリバリーピザ業界は、ヴィターレが「ピザセーバー」を考案した時代には考えられないような状況になっている。
ただそんな現在でも、デリバリーピザをベストコンディションで消費者に届けることができている影には、30年ほど前にニューヨークの女性が考えついたアイデアが生きているのである。今度「ピザセーバー」を見かけたときには、地味にピザを支えるアイテムに目をとどめてみてはいかがだろうか。
藤井薫(ふじい・かおる)
大学を卒業後、広告代理店や出版社を経てライターに。
『POPEYE』『an・an』(マガジンハウス)や『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)などで、ファッション、ビューティ、ビジネスなど幅広い記事をカバー。日本と海外を頻繁に行き来して、海外トレンドを中心に情報発信している。
そんな思いをベースに、世界の企業動向や経営哲学をはじめ、それをとりまくカルチャーやトレンドなどを中心にして、思わず誰かに言いたくなるようなネタを提供していくコラムです。
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