増沢隆太(ますざわ・りゅうた)
株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。
「キラキラ」はずいぶん長い間大流行しています。社会のあちこちで勝手に目の中に飛び込んでくるフレーズ「キラキラ」。キラキラした職場、キラキラした生き方、キラキラネーム、キラキラした女子、キラキラした中年……どうなんだ、おい。
いよいよ就活シーズンが始まりますが、志望先企業に提出するエントリーシート(ES)の指導をしていると、出るわ出るわのキラキラの噴水です。特に理系に比べて具体的な能力などが表現しづらいという理由もあるのでしょうが、文系学生のESがよりキラキラする傾向があります。
例えば志望動機に「OB訪問でお会いした、貴社で活躍する先輩がキラキラ輝いているように、自分も社会の役に立てる仕事だと感じて志望しました」とか「キラキラ輝ける自分に成長できる職場に魅力を感じます」のたぐいです。こんな内容で私のところに持ってこられれば、徹底的に追及されるか修正されるでしょう。中身が全くのゼロだからです。
実は書いてある文言は、いいかげんな就活情報サイトや素人の書いた就職体験記などでは見かけないこともないような内容です。しかし、一切そこに志望した理由はありません。それらしい響きの言葉を並べただけの中身のないアピールになります。
ESは「良い作文」コンテストではなく、採用したいという関心を引くためのキャッチコピーであり、会社側はESを通じてしか個人としてのメッセージを受け取れない環境を説明し、それらを理解できる学生は、表現が拙いことはあっても、しっかりと会社への貢献を盛り込んだ説得力のある内容になっていきます。
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