何があったのか バッシングを跳ね返した侍Jの小久保監督赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2017年03月17日 07時30分 公開
[臼北信行ITmedia]

日本代表の監督は失うものが大きい

侍ジャパンの代表監督をやりたがる人は少ない

 プレミア12後も続投し、2016年は日本人メジャーリーガーをWBCで召集するために直接米国へ飛んだ。誠意を見せて交渉するためだ。しかしながら、この行脚も「単なるアピールじゃないか」などとネット上を中心に嘲笑の対象となった。前出のNPB関係者はこう振り返る。

 「『直接米国へ行って本人たちと面談する』と言える人物が今のご時勢にどれだけいるのか。ハッキリ言えば日本人メジャーリーガーたちは我も強く、ひとくせもふたくせもある。プライドの高い監督であれば、きちんと相手にしてもらえないんじゃないかと恐れて現地へ行きたがらなかったはず。そんなことを気にせずに、小久保監督は日本人メジャーリーガーたちのところへ行って、頭を下げ続けた。これに関してはNPBの中でも『すごいな』との声が強まりましたよ」

 フタを開けて見れば、メジャーリーガーで召集できたのは青木宣親(ミルウォーキー・ブルワーズ)だけ。だが、その青木も最終的に2大会ぶりの参加の決め手となったのは小久保監督の熱意に心を打たれたからだといわれている。一度は代表引退を決め込んでいたイチロー(マイアミ・マーリンズ)も結局は侍メンバー復帰を断念したが、もともと親交のあった小久保監督から土下座に近い形で熱烈なオファーを米国の地で受けていたことから最後の最後まで悩み抜いていたという。

 「侍ジャパンの代表監督をやりたがる人は日本プロ野球界でほとんどいない。前回大会で秋山(幸二=元ソフトバンク監督)さんが監督候補に挙がったものの、断固拒否したことは記憶に新しい。国の威信をかけた戦いに臨むため、その重圧がすごく、勝てればいいが負ければ失うものが余りにも大きい。『割に合わない』と考える人が多いのです。

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