侍Jの監督は誰に? 簡単には決まらない事情赤坂8丁目発 スポーツ246(2/3 ページ)

» 2017年03月23日 11時28分 公開
[臼北信行ITmedia]

侍ジャパンの次期監督

 さて、気になるのは侍ジャパンの次期監督だ。小久保監督が退任を表明した今後は後任の選定作業に本格着手することになる。有力候補として2009年の第2回WBCでチームを連覇に導いた当時の指揮官・原辰徳氏の名前も挙がっているが、本人が引き受けるかどうかは現段階でかなり微妙なところ。後任探しは早くも難航しそうな雲行きとなっている。

 最大の理由は侍ジャパンの監督に「なりたい」と思う人物がほとんどいないことだ。国の威信を背負いながらチームをまとめ上げ、国際大会を戦い続ける代表監督の重圧はとにかくすさまじい。過去にWBCを取材した時、侍ジャパンの某監督が試合前のベンチ裏トイレでプレッシャーに苦しみながら嘔吐していたシーンを目撃したと複数の関係者から耳にしたことも実際にあった。

 とにかく世界的に見てもレベルの高い日本野球は国際大会での優勝がほぼ義務付けられている。だから代表監督はチームが勝てば確かに賞賛されるものの、逆に無様な負け方をすれば場合によっては国賊のような扱いを受けることになるのである。

 プレミア12で世間からコテンパンにされた小久保監督だけが、その一例ではない。2008年の北京五輪で野球日本代表の監督を務めた星野仙一氏も不可解な継投や采配によってチームが準決勝で韓国に敗れ、さらに米国との3位決定戦でも敗北を喫したことで当時猛バッシングを受けた“黒歴史”がある。その後、東北楽天ゴールデンイーグルスの監督として就任3年目の2013年シーズンにチームを日本一に導くと再び賞賛されるようになったが、自らへの評価を回復させるまでに長い年月を要した。

 ちなみに秋山幸二氏は福岡ソフトバンクホークス監督時代の2013年に第3回WBCに臨む侍ジャパンの指揮官就任を打診されたが、結局断っている。表向きはホークスと代表チームの兼任監督に強い難色を示したことが最大の理由とされているものの、実際のところはハイリスクを伴う重職への就任を避けたかったのが本音だったとも聞く。

 しかも、このころの代表監督は引き受けてもNPB(日本野球機構)から200万円程度しかもらえなかった。監督就任期間はWBCの一大会限りの短期間であることに加えて「国のため」という大義名分があったしても、これは余りに安過ぎる。逆に相当なリスクを背負わねばいけないわけだから、もっと報酬を用意しなければいけない。

侍ジャパンの監督に誰が就任するのか

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