トランプはクビになるのか 「ロシアゲート」を解説世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)

» 2017年06月01日 07時17分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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トランプができること

 ここで特筆すべきは驚くべき数のリーク情報がメディアにもたらされていることだ。もはや内部の反トランプ勢力から「トランプ降ろし」が行われているとみても過言ではないだろう。スピン(情報操作)による「クーデター」にも見えなくはない。Twitterで「フェイクニュース」とトランプがバカにしてきたメディアが、一斉に反トランプのキャンペーンの片棒を担いでいるといった様相だ。

 つい先日も当局者がメディアに、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問が選挙期間中や選挙後にも、キスリャク駐米ロシア大使と少なくとも3度、非公開で会談していたことを暴露している。ちなみに政府や軍などからの機密情報のリークは違法行為である。

 メディアを軽視(回避)し、会見などでメディアの追求を避け、Twitterで国民に直接メッセージを送ってきたトランプは、「ロシアゲート」をネタに大手メディアから一斉攻撃を受けながらもツイートで対峙(たいじ)している。ここから米政治がどこに向かっていくのかはもう少し様子を見る必要があるが、少なくとも、メディアへのリークは今後もどんどん続けられることだろう。

 トランプができることは、ツイートで「フェイク!」と叫び、リークを食い止めるための脅しの「大統領令」を検討するくらいしかなさそうだ。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。


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