東京23区の隅っこに住むならどっち? 成増VS. 千歳烏山一見地味な街(駅)対決(2/3 ページ)

» 2017年06月12日 07時15分 公開
[小林拓矢ITmedia]

2路線が使える成増、2大ターミナルへ行ける千歳烏山

駅格差 首都圏鉄道駅の知られざる通信簿』(著・首都圏鉄道路線研究会、SBクリエイティブ)

 成増駅も千歳烏山駅も交通の便のいい街である。成増駅は快速、急行、準急が停車し(東武では快速のほうが急行よりも停車駅が少ない)、普通列車の始発駅でもある。成増駅から快速、急行、準急に乗ると、次は終点、池袋駅。また、普通列車の始発駅なので、座席に座って池袋方面へ行ける。池袋駅には東武百貨店やルミネなどの大規模商業施設があり、買い物にも便利である。私鉄地下鉄など、5線乗り入れており、各主要駅にも容易に行くことができる。

 また、成増駅にほど近い、東京メトロの地下鉄成増駅からは、副都心線方面や有楽町線方面へ向かうことができる。

 これには意外なメリットがある。東京メトロは都心に広く路線網を有しているため、比較的割安なメトロの運賃で都内のさまざまなところへ向かうことができる。それゆえにお財布にも優しければ、人を雇う企業にとっても交通費が少なくてすむ。雇用の形態で交通費が支給されない場合にもメリットは大きい。

 23区の隅っこであっても、東京メトロにダイレクトにアクセスできるというだけで、これだけいいところがあるのだ。2つの路線を使い分けることにより、成増の利便性は増すであろう。そんな成増駅の乗降人員は、5.8万人(2015年度)。地下鉄成増駅は、4.9万人(2015年度)。成増駅は2面4線の駅であり、普通列車の発着と、快速などの停車とうまく使い分けられている。地下鉄成増駅は1面2線である。

 では、ライバルの千歳烏山駅は、どんな駅なのだろうか。ホームは2面2線であるものの、準特急以下のすべての列車が停車する。なお特急は停車しない。それゆえに、乗降できる列車は多い。乗降人員は7.8万人である。

 千歳烏山駅は、成増のように2つの路線を使えるわけではない。しかし京王線で新宿に行くこともできるし、明大前で井の頭線に乗り換え渋谷に向かうこともできる。乗降客数1位の新宿は乗り換え路線の多さもさることながら、2016年にはバスタ新宿も開業し、とても交通の便がよくなった。また、渋谷駅では駅ビルや百貨店のみならず、駅周辺には路面店も数多くあり、他のターミナル駅にない魅力がある。

 また、新線新宿駅では都営大江戸線に乗り換えられるだけではなく、新宿三丁目駅で東京メトロ丸ノ内線、市ケ谷駅で東京メトロ南北線、有楽町線、JR中央・総武緩行線。九段下駅で東京メトロ東西線、半蔵門線。神保町駅で都営三田線など、数多くの乗り換え路線を持っている。平日昼間ならおおよそ10分に1本程度、都営新宿線に乗り入れる列車がやってくる。たいていの場合は区間急行か快速で、急行の場合もある。

 2つの路線が利用できる成増駅と、2つの巨大ターミナル駅にアクセスできる千歳烏山駅。どちらの駅も利点があり、決して不便なところではない。

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